離職率が高い会社の10の共通点 – 採用・上司・制度・文化で原因を分解

更新:2026.07.28|公開:2026.07.28

離職率が高い会社の10の共通点 – 採用・上司・制度・文化で原因を分解

離職率が高い会社の10の共通点 - 採用・上司・制度・文化で原因を分解

「うちの会社、なぜこんなに人が辞めるのか」

――経営者が抱くこの問いに対し、人事担当者からは現場の不満が、現場マネージャーからは制度や待遇の問題が報告される。
原因は分散しているように見えて、離職率が高い会社には驚くほど共通する10の特徴が存在します。

本記事では、厚生労働省「雇用動向調査」の業界別データと、CIY®編集部が800社以上・累計65万人の適性運用で得た知見をもとに、離職率が高い会社の特徴と原因を「採用・上司・制度・文化」の4カテゴリに分解した10の共通点を整理します。

自社診断用の10項目チェックと、原因別に経営者が今四半期に打てる一手まで、再現性のある分析フレームとして使える構成にしました。

CIY®才能カルテ

この記事でわかること

  • 「離職率が高い会社」の判断基準と、業界平均(全産業14.6%)との比較で見るべき指標
  • 離職率を押し上げる10の共通点を「採用・配置/上司/制度/文化」の4カテゴリで整理
  • 自社が当てはまるかをチェックする10項目セルフ診断シート
  • 原因に応じた経営者の一手と、優先順位の付け方
  • 強み・特性データを起点に「構造的離職要因」を可視化するCIY®才能カルテの活用法

図解_離職率が高い会社の10の共通点 - 採用・上司・制度・文化で原因を分解

目次

離職率が高い会社の定義|業界平均と「危険水域」の判断基準

「離職率が高い」と言うとき、まず参照すべきは業界平均との比較です。

厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概況」によれば、日本の全産業平均離職率は15.4%(年間ベース)で、業界によって7%〜26%まで大きな幅があります。
宿泊・飲食サービス業、生活関連サービス業は構造的に高く、製造業・情報通信業は構造的に低い傾向です。

自社の離職率が業界平均を5ポイント以上上回っている場合、業界要因では説明できない「自社固有の要因」が稼働している可能性が高いと判断できます。
さらに新卒3年離職率に着目すると、全国平均は約34%(厚労省2023年公表値)ですが、これが40%を超える組織は危険水域として早急に原因を診断する必要があります。

業界平均の細部は 業界別離職率ランキング|あなたの会社は高い?低い? を、離職コストの試算は 離職コストの計算方法完全ガイド|年収の1.75倍説の根拠 を参照してください。

本記事では「業界平均より高い」状態を出発点として、その背後にある10の共通点を分解します。

採用・配置に起因する3つの特徴(共通点1〜3)

離職率の高さは「辞める社員の問題」ではなく、多くの場合入口で生まれているミスマッチが時間差で表面化したものです。採用・配置プロセスに起因する3つの共通点を整理します。

共通点①|採用基準がスキル・経歴中心で、価値観と特性のマッチングを見ていない

離職率が高い会社の採用面接では、職務経歴と保有スキルの確認に時間の8割が割かれ、本人の価値観・働き方の好み・強みの発揮シーンへの問いが極端に少ないという共通点があります。

「できる人」ではなく「合う人」を見る視点が採用工程に組み込まれていない組織ほど、入社1年以内のミスマッチ離職が多発します。

共通点②|配属・任せ方が「空席埋め」で、適性が無視されている

採用後の配属が、退職者ポストの埋め合わせや人員不足部署への玉突きで決まり、本人の特性と職務要件のフィットが配置判断に反映されていない状態です。

本人は努力しているのに成果につながらず、自己効力感が削られて静かに辞意を固めるパターンが繰り返されます。

共通点③|オンボーディング設計がなく、入社後30日が個人任せ

入社初日から3か月間の体系的なオンボーディングプロセスが文書化されておらず、配属先のマネージャーの裁量に丸投げされている組織は、新人離職率が構造的に高くなります。

「最初の30日でだれが何を伝え、だれが定期的に状態を確認するか」が設計されていないだけで、孤立感と心理的離脱は急速に進みます。

設計テンプレートは 新入社員の離職を防ぐオンボーディング設計 にまとめています。

マネジメント・上司に起因する3つの特徴(共通点4〜6)

ギャラップ社の長年の研究では「人は会社を辞めるのではなく、上司を辞める」とされ、離職要因の約7割は直属マネージャーの行動で説明できると整理されています。マネジメント側の3共通点を見ていきます。

共通点④|直属上司のフィードバック頻度が極端に低い

「年1回の評価面談以外、上司から自分の仕事への評価コメントをもらった記憶がない」と社員が答える組織は、ほぼ例外なく離職率が高い傾向にあります。
フィードバックの空白は「正当に見られていない」感覚を生む最大要因です。

日常の小さな称賛と建設的な改善助言の両輪が回っていない組織は、認知不足による離職が常態化します。

共通点⑤|1on1がない、または形骸化している

定例1on1が制度として存在しないか、存在していても進捗確認だけで終わり、キャリアと強みの話題に踏み込まない運用になっている状態です。

1on1は「やっているか」より「未来の話ができているか」で機能を判断するべきです。

共通点⑥|ハラスメント・対人トラブルへの対応が遅い、または行われない

パワハラ・セクハラ・対人トラブルが現場で発生したとき、人事や経営の介入が遅い、もしくは「両者の言い分」止まりで構造的解決に至らない組織は、当事者だけでなく周囲の社員の信頼を急速に失います。

放置1件あたり、周辺3〜5名のエンゲージメントが連鎖的に低下することを経営は前提にすべきです。

制度・処遇に起因する2つの特徴(共通点7〜8)

制度設計の不備は単独では離職を生みにくいものの、他の要因と組み合わさったときの「最後の一押し」として強く作用します。

共通点⑦|評価制度が不透明で、頑張りが処遇に反映されていない

評価基準が公開されていない、評価会議のロジックが本人にフィードバックされない、上位等級への昇格事由が属人的、といった不透明さは「正当に評価されていない」感覚を生みます。

金銭的待遇の絶対額より、「納得感」が離職決断に効くのが日本の中堅以上の労働者の傾向です。

共通点⑧|キャリアパスと成長機会が見えない

社内の等級制度・キャリアパスが文書化されていない、社内公募や異動の仕組みがない、研修体系が場当たり的、という状態は20代〜30代前半のキャリア自律意識の高い層から順に離職が起きる典型的な構造です。

「ここで5年働いた先に何があるのか」を1枚の図で示せない組織は、将来不安の累積が止まりません。

組織文化・職場環境に起因する2つの特徴(共通点9〜10)

最後の2項目は、すぐに数値化しにくいぶん変えるのに最も時間がかかる構造要因です。経営トップのコミットメントが必要な領域です。

共通点⑨|心理的安全性が低く、本音と反対意見が出てこない

会議での発言が一部の声の大きい人に偏る、新入社員や若手が質問・反論をしにくい雰囲気、ミスや失敗を共有すると個人攻撃に発展する文化
――これらは心理的安全性の低さの典型的兆候です。

Googleのプロジェクト・アリストテレスでも、生産性と定着の最大規定要因として心理的安全性が示されています。

共通点⑩|業務量過多・長時間労働が常態化している

慢性的な残業、休暇取得率の低さ、業務量の偏在が常態化している組織は、心身の疲弊だけでなく「この働き方を5年・10年続けたいか」の問いを社員に突きつけます。

労働時間そのものより、「コントロール感の欠如」(自分で予定を組み替えられない感覚)が離職決断に強く効くことが各種エンゲージメント調査で示されています。

自社が該当するか|10項目セルフ診断シート

ここまでの10共通点を、経営会議や人事部内ミーティングでそのまま使える診断シートとして再整理します。

各項目に「Yes/No/一部Yes」で回答し、Noが4つ以上ある場合は構造的離職要因が同時多発している警戒水準と判断します。

カテゴリ 診断項目 判断の目安
採用・配置 ①採用面接で価値観・強みを問う設計時間が30%以上ある Noなら共通点①該当
採用・配置 ②配属判断で本人の特性データを使っている Noなら共通点②該当
採用・配置 ③入社90日のオンボーディング計画が文書化されている Noなら共通点③該当
マネジメント ④全マネージャーが月1回以上、業務外フィードバックを行う Noなら共通点④該当
マネジメント ⑤1on1で「未来とキャリア」が直近3か月で話されている Noなら共通点⑤該当
マネジメント ⑥ハラスメント相談から1か月以内に方針が示される運用がある Noなら共通点⑥該当
制度・処遇 ⑦評価基準が全社員に開示され、評価結果の理由を本人に説明している Noなら共通点⑦該当
制度・処遇 ⑧等級・キャリアパスが1枚の図で示せる Noなら共通点⑧該当
組織文化 ⑨直近の会議で若手・新人が自発的に発言した Noなら共通点⑨該当
組織文化 ⑩残業時間と有給取得率が業界平均と同等以上 Noなら共通点⑩該当

Yesの数が3個以下なら、10共通点のうち7個以上が同時稼働している重度の構造課題として、優先度の付け直しが必要な状態です。

原因別の優先順位|経営者が今四半期に打てる一手

10項目の対応をすべて同時には進められません。経営インパクトと着手難度の2軸で優先順位を整理すると、今四半期に打つべき一手が見えてきます。

第1四半期で着手すべきは、共通点④(フィードバック頻度)と共通点⑤(1on1)の2点です。マネージャー層への研修と運用ルール変更で、3か月以内に効果が出ます。

離職コスト換算で見ても、年収500万円の社員1人を引き止められれば約605万円の損失回避に相当します
(試算根拠は 離職コストの計算方法完全ガイド を参照)。

第2四半期では共通点①〜③の採用・配置プロセス、第3四半期では共通点⑦⑧の制度設計、第4四半期では共通点⑨⑩の文化変革に着手するのが現実的なロードマップです。


離職を未然に防ぐ完全ガイド|離職予兆の見つけ方・コスト削減・実務対応のすべて で全体像を確認してください。

CIY®才能カルテで「構造的離職要因」を可視化する

10共通点のうち、共通点①②④⑤は個人ごとの強み・特性データの有無で対応のしやすさが大きく変わる項目です。経済産業省の 人的資本経営に関する取組 でも、エンゲージメントと適材適所の指標は人的資本開示の中核項目に位置づけられています。

CIY®才能カルテは、適性検査23項目から個人の強み・マネジメントの方法を可視化し、採用・配置・1on1・フィードバックの4工程に同じデータを使い回せる仕組みです。
CIY®適性検査を活用した企業では、入社後3年時点の離職率が一般平均39%に対して14.7%と報告されています(※当社調べ)。

「離職率が高い原因」を感覚論ではなく、構造データに基づいて分解・改善するための基盤として機能します。

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まとめ

離職率が高い会社の原因は、現場ごとに異なるように見えて、実は採用・上司・制度・文化の4カテゴリに整理される10の共通点に高頻度で集約されます。

第1に、業界平均(全産業15.4%)と新卒3年離職率(全国平均34%)を出発点として、自社の数字を「業界要因」と「自社固有要因」に切り分けることが診断の起点です。

第2に、共通点は採用・配置の3項目、上司の3項目、制度の2項目、文化の2項目に分かれ、それぞれに固有の打ち手があります。

第3に、優先順位は経営インパクトと着手難度の2軸で決め、今四半期はフィードバック頻度と1on1運用に的を絞ることが最も費用対効果の高い一手です。

来週の経営会議で「うちはこの10項目のどこに該当するか」を議題に上げる
――構造的離職対策の最初の一歩は、原因の分解から始まります。

CIY®才能カルテで実践する

離職率が高い原因を「感覚論」ではなく、強み・特性データに基づく構造分析で打ち手に変える。CIY®才能カルテは、採用・配置・1on1・フィードバックの4工程を1つのデータで貫通させ、離職要因を未然に特定する仕組みです。30日間無料でお試しいただけます。

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執筆・監修者

人材の強みを活かした採用と配置
CIY®(シーアイワイ)

自社に応募してくれた貴重な人材の、強みを活かして採用・配置ができるの採用サービス。
独自の適性分析&マッチング技術で特許取得
(特許番号:7219981号)
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よくある質問

Q. 離職率が何%を超えたら「高い」と判断すべきですか?
A. 絶対値ではなく業界平均との比較で判断するのが現実的です。厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概況」によれば全産業平均は15.4%で、業界によって7%〜26%まで幅があります。自社の離職率が業界平均を5ポイント以上上回っている場合、業界要因では説明できない自社固有の構造課題が稼働している可能性が高いと判断します。新卒3年離職率では全国平均34%に対して40%超が危険水域の目安です。
Q. 10共通点のすべてに同時に着手すべきですか?
A. 同時着手は組織のキャパシティを超えるため非推奨です。「経営インパクトの大きさ」と「着手難度の低さ」の2軸で優先順位を付け、第1四半期は共通点④(フィードバック頻度)と⑤(1on1運用)から始めるのが費用対効果の高い順序です。これらはマネージャー層への研修と運用ルール変更で3か月以内に効果が出始めます。次に採用・配置プロセス、制度設計、文化変革の順に着手するロードマップを推奨します。
Q. 中小企業で人事専任者がいない場合、10共通点をどう診断すればよいですか?
A. 経営者本人+部門長2〜3名で本記事の10項目セルフ診断シートを使い、30分の経営会議の議題に1度上げるところから始められます。診断結果でNoが多かった項目について、まずは共通点④⑤のマネジメント領域に集中するのが現実的です。退職者への離職面接(エグジットインタビュー)の記録があれば、退職理由を10共通点のカテゴリに分類してマッピングするだけでも、自社のボトルネックが浮き彫りになります。
Q. 早期離職(入社1年以内)と中堅社員の離職では、原因の比重は変わりますか?
A. 比重は明確に変わります。早期離職は共通点①〜③(採用基準・配属・オンボーディング)に強く規定され、入口のマッチング不全が短期間で表面化します。中堅社員の離職は共通点⑦⑧(評価制度の不透明さ・キャリアパスの不明確さ)と共通点④⑤(フィードバック・1on1の質)に集中する傾向があります。年代・在籍年数別に離職データを分解すると、自社のボトルネックがどのカテゴリにあるかが見えやすくなります。
Q. 離職率の改善はどれくらいの期間で効果が出ますか?
A. 着手する共通点によって効果が出るまでの期間は大きく異なります。共通点④⑤(フィードバック・1on1)は3〜6か月で「行動変化」として現れ、12か月以内に離職率の数値変化として検出可能です。共通点⑦⑧(制度設計)は設計に6か月、運用浸透に12か月、合計18か月程度が目安です。共通点⑨⑩(組織文化)は最も時間がかかり、24〜36か月の継続的なコミットメントが必要になります。短期で数字を動かしたい場合はマネジメント層の介入から始めるのが鉄則です。