【2026年最新】離職防止・離職対策の完全ガイド|原因別の具体策と進め方

「離職が増えているが、何から手を付ければいいのかわからない」
「1on1や福利厚生など施策はいろいろ聞くが、自社には何が必要なのか判断できない」
離職防止で重要なのは、思いついた施策を増やすことではありません。まず自社の離職率と「どこで・どのような離職が起きているか」を把握し、原因に合った対策を選ぶことです。
厚生労働省の「令和7年(2025年)雇用動向調査」では、常用労働者全体の年間離職率は13.7%でした。ただし、雇用形態や業界によって水準は大きく異なるため、全国平均だけで「高い・低い」を判断することはできません。
本記事では、離職防止・離職対策の全体像を、現状把握 → 原因診断 → 施策選定 → 実行 → 振り返りの順に整理します。
「自社はどこから着手すべきか」を判断できる診断マップも用意しています。詳細なテーマについては、各専門記事へ進んでください。
この記事でわかること
- 離職防止・離職対策で最初に確認すべきこと
- 2025年の最新離職率と、自社の水準を判断する方法
- 離職の原因を6つの領域に分けて考える方法
- 原因別に優先したい離職防止策
- 離職の予兆をどのように扱うべきか
- 採用前から退職後まで、時系列で見るリテンション施策
- 中小企業が限られた人事リソースで始める手順
- 離職コストを経営判断に使う考え方
目次
1. まず診断|自社の離職対策はどこから始める?
離職対策は、会社の状態によって最初の一手が変わります。現在の悩みに最も近いものから確認してください。
| いまの悩み・状態 | 最初にやること | 詳しく読む記事 |
|---|---|---|
| 自社の離職率が高いのかわからない | 全国平均・雇用形態・業界と比較する | 離職率が高い基準は何%? 業界別離職率ランキング |
| なぜ人が辞めるのかわからない | 採用・上司・制度・文化などに原因を分解する | 離職率が高い会社の10の共通点 |
| 入社1年以内の退職が多い | 採用時の期待値と入社後90日を見直す | 早期離職対策 オンボーディング90日プラン |
| 具体的な離職防止策を選びたい | 自社の原因に合う施策を優先順位付けする | 離職率を下げる8つの方法 |
| 離職の兆候を早めに把握したい | 変化を「断定」ではなく対話のきっかけとして捉える | 離職予兆の7つのサイン |
| 人事専任者が少なく、大掛かりな施策は難しい | 低コスト・小さく始められる施策から選ぶ | 中小企業の離職対策 |
| 全社的なリテンション戦略・KPIを整えたい | 入口から定着・退職までを一つの仕組みとして設計する | リテンション戦略の設計 |
| 社員から退職の申し出を受けた | 理由を確認し、引き止めるかを冷静に判断する | 退職の引き止め方 |
| キーパーソン退職後の連鎖が心配 | 残留社員の負荷・不安・情報共有を優先する | 離職連鎖を防ぐ方法 |
| 離職対策の予算を経営に説明したい | 採用・教育・空白期間などの離職コストを可視化する | 離職コストの計算方法完全ガイド |
「とりあえず1on1」「とりあえず福利厚生」と施策から入るのではなく、自社の症状から必要な対策を逆算することが、離職防止の出発点です。
2. 離職防止・離職対策とは|「離職ゼロ」ではなく防げる離職を減らす
離職防止とは、社員が働き続けにくくなる原因を把握し、退職に至る前に組織やマネジメントを改善する取り組みです。リテンション、定着支援などと呼ばれることもあります。
ただし、離職率をゼロにすること自体が目的ではありません。本人のキャリア選択やライフイベントなど、企業側だけではコントロールできない離職もあります。
企業として優先的に減らしたいのは、たとえば次のような防ぐ余地があった離職です。
- 入社前後の期待値のズレによる早期離職
- 上司との関係やコミュニケーション不足による離職
- 評価への納得感不足による離職
- 成長機会やキャリア展望が見えないことによる離職
- 過度な業務負荷や働きにくさによる離職
- 相談できないまま不満が蓄積した結果の離職
つまり離職対策とは、退職者を引き止めることだけではなく、「辞めたい」と思う前から、採用・配属・育成・評価・職場環境を整えることまで含みます。
すべての離職を同じように扱わない
現在の離職率だけでなく、「どの社員層で、どのタイミングに、どのような理由で離職が起きているか」まで分解することが重要です。
たとえば、入社直後の離職が集中している場合と、長く活躍してきた社員の離職が増えている場合では、取るべき対策は異なります。
離職率という1つの数字を下げるのではなく、自社として防ぎたい離職を特定することから始めましょう。
3. 日本の離職率は13.7%|まず自社の現在地を確認する
厚生労働省が2026年8月31日に公表した「令和7年(2025年)雇用動向調査」では、常用労働者全体の年間離職率は13.7%でした。
ただし、一般労働者では11.4%、パートタイム労働者では19.9%と差があります。また、業界によっても離職率は大きく異なります。
自社の離職率を判断するときは、次の順で比較します。
- 自社の離職率を同じ定義で計算する
- 雇用形態を揃える
- 同じ業界の離職率と比較する
- 自社の過去数年の推移も確認する
「何%から高いのか」は【2026年最新】離職率が高い基準は何%?平均13.7%と判断目安、業界ごとの最新データは【2026年最新】業界別離職率ランキング|高い・低い業界を厚労省データで比較で詳しく解説しています。
なお、新卒3年以内離職率は年間離職率とは別の指標です。厚生労働省の最新公表では、2022年3月卒業者の3年以内離職率は大学卒33.8%、高校卒37.9%でした。年間離職率13.7%と直接比較しないようにしましょう。
4. 離職の原因は6つの領域に分けて考える
離職理由は一人ひとり異なりますが、企業側が改善を検討できる原因は大きく6つの領域に整理できます。
| 原因領域 | よくある状態 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 採用・仕事内容のミスマッチ | 入社後に「聞いていた仕事と違う」「自分に合わない」と感じる | 採用時の情報開示、職務・期待値の明確化、適性確認 |
| オンボーディング・初期配属 | 入社直後に孤立する、役割や相談先がわからない | 入社90日プラン、メンター、定期面談 |
| 上司・人間関係 | 相談しにくい、フィードバックが少ない、関係が悪い | 1on1、管理職支援、心理的安全性の改善 |
| 評価・処遇 | 評価基準が不透明、成果と評価の関係に納得できない | 評価基準・説明プロセスの見直し |
| 成長・キャリア | この会社にいても成長できない、将来像が見えない | キャリア対話、育成、配置・役割の見直し |
| 働き方・職場環境 | 業務量が多い、休みにくい、本音を言いにくい | 業務配分、働き方、職場環境、心理的安全性の改善 |
重要なのは、「給与を上げれば解決」「1on1を増やせば解決」と一つの原因に決めつけないことです。
自社の原因をより詳しく診断したい場合は、離職率が高い会社の10の共通点|採用・上司・制度・文化で原因を分解をご覧ください。
5. 原因別|離職防止の8つの対策
離職対策は、原因に合わせて組み合わせます。代表的な対策を全体像として整理すると、次の8つです。
| 対策 | 向いている課題 | 最初の一手 |
|---|---|---|
| 1. 採用時のミスマッチを減らす | 入社直後の「こんなはずではなかった」が多い | 仕事内容・期待値・働き方を採用時に具体化する |
| 2. オンボーディングを設計する | 入社1年以内、とくに数か月以内の退職が多い | 入社30・60・90日のフォロー内容を決める |
| 3. 1on1・定期対話を整える | 上司が部下の悩みを把握できていない | 業務報告とは別に相談・成長の時間を固定する |
| 4. 上司のマネジメントを支援する | 部署・上司によって離職率に差がある | フィードバックや面談の質を点検する |
| 5. 評価の透明性を高める | 評価への不満・納得感不足が多い | 評価基準と評価理由を社員に説明できる状態にする |
| 6. 成長・キャリアの選択肢を示す | 若手・中堅の「先が見えない」退職が多い | 半年〜1年先の役割や成長テーマを対話する |
| 7. 業務量・働き方・職場環境を見直す | 残業、負荷偏在、休みにくさが目立つ | 部署・職種別に負荷を可視化する |
| 8. 退職リスクが高まったときの対応ルートを作る | 辞意が表明されるまで人事が気づけない | 上司・人事への相談ルートと対応責任者を決める |
8つの対策をすべて同時に始める必要はありません。具体的な実装方法と優先順位は、離職率を下げる8つの方法|中小企業のリテンション戦略で詳しく解説しています。
6. 離職の予兆は「退職を当てる指標」ではなく、対話のきっかけとして扱う
現在の働き方やコミュニケーションに変化が表れたとき、それが離職を考えているサインである可能性はあります。
ただし、勤怠・発言量・サーベイスコアなど、単一の変化だけで「この社員は辞める」と判断することはできません。
たとえば次のような変化が重なった場合は、「離職を疑う」のではなく、本人の状態を確認するための対話を増やすきっかけとして扱います。
- 以前より相談や発言が減った
- 仕事への関心や挑戦意欲に変化が見られる
- サーベイなどで本人の状態が継続的に変化している
- 1on1でキャリアや働き方について悩みが出ている
- 周囲との関係や業務負荷について本人から相談がある
有給取得や私生活、SNS上の行動などを一律に離職予兆とみなし、本人の意向を推測する運用は避けましょう。必要なのは監視ではなく、普段から相談できる関係と対話の仕組みです。
マネージャーが気づきやすい変化の具体例は、離職予兆の7つのサイン|マネージャーが見逃さないチェックリストで詳しく整理しています。
7. 離職対策は「社員の時系列」で考えると抜け漏れが減る
離職防止は、退職直前だけの施策ではありません。採用前から退職後までの流れで考えると、自社の抜けている部分が見えやすくなります。
| 時期 | 主な課題 | 対策 | 関連記事 |
|---|---|---|---|
| 採用前〜入社 | 期待値・仕事内容のミスマッチ | 情報開示、採用基準、適性確認 | 早期離職対策 |
| 入社〜90日 | 孤立、役割不明、初期配属のズレ | オンボーディング、メンター、定期面談 | オンボーディング90日プラン |
| 定着期 | 上司、評価、成長、働き方への不満 | 1on1、評価改善、キャリア支援、職場改善 | 離職率を下げる8つの方法 |
| 状態変化が見えたとき | 不満・エンゲージメント低下が疑われる | 対話、サーベイ、必要に応じて人事支援 | 離職予兆の7つのサイン |
| 退職の申し出後 | 理由確認、引き止め判断、残留者フォロー | 面談、引き継ぎ、チーム負荷の調整 | 退職の引き止め方 離職連鎖を防ぐ方法 |
採用から退職までを横断したKPIや運用ルールを作りたい場合は、リテンション戦略の設計|エンゲージメントから始めるも参考にしてください。
8. 中小企業は「原因を1つ選び、小さく改善する」ことから始める
人事専任者が少ない中小企業では、大規模な制度改革から始める必要はありません。
まず30日で、次の4ステップを進めます。
- 1週目:現状把握
直近1〜3年の離職率を計算し、部署・勤続年数・雇用形態などで偏りを確認する - 2週目:原因の仮説を立てる
退職理由、面談記録、現場ヒアリングから「最も大きそうな原因」を1つ選ぶ - 3週目:対策を1つ決める
オンボーディング、1on1、評価説明など、原因に直結する施策を小さく始める - 4週目:確認方法を決める
離職率だけでなく、実施率・満足度・相談件数など、途中経過を確認できる指標を決める
施策を増やすより、「何を改善したいのか」と「変化をどう確認するのか」をセットにすることが重要です。
社員30〜300名規模での優先順位は、中小企業の離職対策|30名から取り組める実践施策も参考にしてください。
9. 離職防止ツールは「原因がわかった後」の選択肢
サーベイ、コンディション把握、人材データ分析などのツールは、社員の状態を継続的に確認するうえで役立ちます。
ただし、ツールを入れるだけで離職が止まるわけではありません。数値や状態の変化に気づいたあとに、誰が確認し、どのように対話し、必要ならどこまで組織側が改善するかという運用が必要です。
ツールを検討する場合は、機能の多さだけでなく、次の点を確認します。
- 自社が把握したい課題に合っているか
- 社員の回答・入力負担が大きすぎないか
- 個人情報・人事データの扱いが明確か
- 結果を現場マネージャーの行動につなげられるか
- 導入後の運用担当者を決められるか
具体的なツール比較は、離職防止ツール・離職アラートツールの比較記事をご覧ください。
10. 離職コストを可視化し、対策の優先順位を経営判断につなげる
離職が起きると、求人広告・人材紹介などの採用費だけでなく、採用担当者の工数、引き継ぎ、教育、欠員期間中の生産性低下など複数のコストが発生します。
現在の記事で扱っていた「直接採用費・立ち上げ・引き継ぎ・周囲への影響・機会損失」という分解は、離職コストを考える枠組みとして活用できます。
ただし、「社員1人の退職=必ず年収の○倍」と一律に置くのではなく、自社で実際に発生している項目を積み上げて試算する方が、経営判断には使いやすくなります。
具体的な計算方法と試算テンプレートは、離職コストの計算方法完全ガイド|年収の1.75倍説の根拠をご覧ください。
11. CIY®才能カルテで離職対策を「一人ひとりに合わせる」
同じ制度・同じ上司・同じ仕事でも、負担に感じるポイントや、働きやすさにつながる関わり方は人によって異なります。
CIY®才能カルテは、適性検査の特性データをもとに、社員一人ひとりのマネジメントを考えるためのレポートを提供します。
1on1での問いかけ、仕事の任せ方、フィードバックなど、日常のマネジメントを本人の特性に合わせて考える材料として活用できます。
離職リスクを機械的に断定するのではなく、本人との対話や配置・育成を改善するための情報として使うことが重要です。
まとめ|離職防止は「現状把握→原因診断→1つずつ改善」で進める
離職防止・離職対策で最も避けたいのは、原因を確認せずに施策だけを増やすことです。
まずは次の順番で進めましょう。
- 現状把握:自社の離職率を計算し、業界・雇用形態・過去推移と比較する
- 原因診断:採用、オンボーディング、上司、評価、成長、働き方のどこに問題があるかを見る
- 施策選定:原因に直結する対策を1〜2個に絞る
- 実行:担当者・頻度・運用方法を決める
- 振り返り:離職率だけでなく途中指標も確認して改善する
「離職率を下げること」そのものではなく、社員が働き続けにくくなっている原因を一つずつ取り除くことが本質です。
具体的な対策を選びたい方は離職率を下げる8つの方法、自社の原因を整理したい方は離職率が高い会社の10の共通点から進めてください。
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- 離職予兆の7つのサイン|マネージャーが見逃さないチェックリスト
- リテンション戦略の設計|エンゲージメントから始める
- 中小企業の離職対策|30名から取り組める実践施策
- 離職防止ツール・離職アラートツールの比較
- 離職コストの計算方法完全ガイド|年収の1.75倍説の根拠
- 退職の引き止め方|面談タイミングと理由別の話法
- 離職連鎖を防ぐ方法|キーパーソン退職時の組織対応
CIY®才能カルテで実践する
CIY®才能カルテは、社員一人ひとりの特性をもとに、1on1・仕事の任せ方・フィードバックなど日常のマネジメントを考えるための情報を提供します。
離職対策を一律の制度だけで終わらせず、一人ひとりに合わせた関わり方まで改善したい場合の選択肢として活用できます。




