更新:2022.08.26|公開:2021.05.12

従業員満足度とは?調べ方と分析方法、向上させる方法をわかりやすく説明

「従業員満足度」とは、企業に属する従業員が自社にどの程度満足しているかを示す指標です。

英語では「Employee Satisfaction」であるため、その頭文字をとって「ES」と呼ばれることもあります。

目次

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この記事のポイント

「企業にとって従業員満足度が重要と聞いたけれど、従業員満足度とは何だろう?」
「わが社は従業員満足度があまり高くないが、どうすればいい?」

従業員満足度について、そんな疑問を持っている人は多いのではないでしょうか。

「従業員満足度」とは、企業に属する従業員が自社にどの程度満足しているかを示す指標です。
企業側から従業員に、アンケートなどの形で調査されるものです。

従業員満足度が高い企業は、顧客満足度も高い傾向があるため、従業員満足度を上げることに努める企業が増えています。
また、ほかにも以下のようなメリットがあります。

  1. 生産性がアップする
  2. 離職率が下がる
  3. 採用力アップ、採用コスト削減

従業員満足度を高めることは、企業にとって非常に意味があるのです。

そこでこの記事では、従業員満足度についてさまざまな面から考えていきたいと思います。

まず、

  • 従業員満足度の意味
  • 従業員満足度を構成する要素
  • 従業員満足度が重視される理由

といった基本から説明します。

それを踏まえて、

  • 従業員満足度が高まることのメリット
  • 従業員満足度の調べ方
  • 従業員満足度を向上させる方法

をお伝えしていきます。

1. 従業員満足度とは

そもそも、「従業員満足度」とは何でしょうか?
どうやって調査、測定するのでしょう?

この章では、まず最初に従業員満足度についての基礎知識をおさえていきます。

1-1. 「従業員満足度」の意味

「従業員満足度」とは、企業に属する従業員が自社にどの程度満足しているかを示す指標です。
英語では「Employee Satisfaction」であるため、その頭文字をとって「ES」と呼ばれることもあります。

従業員満足度をはかる特定の計測方法などはなく、一般的には企業ごとにアンケートを用意して定期的に実施し、その結果を集計・分析する方法がとられます。

アンケート項目は、

  • 仕事内容(働きがい)
  • 職場環境
  • 給与
  • 上司のマネジメント
  • 福利厚生
  • 人間関係
  • 企業の経営理念
  • 企業文化

などで、それぞれどの程度満足しているかを答える方式です。

ちなみにこれと似た概念として、「従業員エンゲージメント」があります。
「従業員満足度」が、企業に対する従業員の満足度であるのに対し、「従業員エンゲージメント」は従業員からの企業への信頼度を意味する言葉です。

企業の理念や経営方針に対する共感や、従業員自ら企業に貢献したいという意欲などがこれに含まれます。

1-2. 従業員満足度を構成する5要素

この従業員満足度は、大きくわけて以下の5つの要素から成り立っています。
これらがそれぞれ満たされるほど、従業員の満足度が高くなります。

1-2-1. 企業ビジョンへの共感

まず第一に、企業が掲げるビジョンに従業員自身が共感できていることが重要です。
ここに共感できれば、従業員は、

  • 自分の仕事に働きがいがを感じる
  • 会社の未来に期待をもてる
  • この会社で働いていることに誇りやプライドをもてる

といった高い満足度を感じることができます。

そうなると、会社への信頼や、「この企業ビジョンに向けて貢献したい」という気持ち、つまり従業員エンゲージメントも高まってくるでしょう。

ただ、経営者サイドがこの共感を従業員に無理強いするのは逆効果です。
まずは従業員がビジョンをよく理解できるまで、わかりやすく説明しましょう。

その上で、このビジョンの実現には従業員それぞれの働きが必要なことを個別に訴えかけて、自然に意欲が湧くように導くことも必要です。

1-2-2. マネジメントへの納得感

次に、上司や人事からのマネジメントや処遇に対する納得感が挙げられます。

  • 「上司から認められている」と承認感を感じられる
  • 上司とのコミュニケーションが良好で、自分の考えや気持ちを汲んでくれる

と思えれば、従業員の満足感はアップします。

逆に、「上司や人事が正当に評価してくれない」「コミュニケーションが不足している」と不満が出れば、従業員のモチベーションは下がり、最悪の場合は離職につながってしまうのです。

そういったリスクを回避するには、上司は部下と日常的にコミュニケーションをとり、その働きぶりや考えをよく把握しなければなりません。
その上で、褒めるところがあれば褒める、成長していればそれに見合った仕事を任せる、といった適切なマネジメントを行いましょう。

1-2-3. 企業の業績や社会への参画意識

また、「会社の業績や社会のために貢献できている」という実感も必要です。

  • 自分の仕事が会社の業績を上げる一助になっている、と感じられる
  • 自分の仕事は社会的に意義があることだ、と誇りをもてる

という意識があれば、従業員のモチベーションも高まります。

ただ、人事、総務、経理などの管理部門・間接部門などの場合、「業績への貢献」はなかなか実感しづらいものでしょう。

その場合は、経営者サイドから密にコミュニケーションをとって業務の成果や意義を認めたり、従業員同士でお互いの仕事ぶりを認め合う仕組みをつくったりすると効果的です。

1-2-4. 人間関係、企業風土

さらに、従業員が快適に働くためには、職場の雰囲気も重要なファクターです。

  • 職場の人間関係が円滑でコミュニケーションが良好である
  • 従業員同士がお互いの仕事に関心を持ち、必要なときには協力的である

といった良好な人間関係と企業風土が求められています。

もしこれに反して、従業員のコミュニケーションがとれておらず、職場の雰囲気がギスギスしていたり、数字ばかり重視して、職場の「人」を大切にしない企業風土であったりすれば、従業員の満足度はどんどん低下していくはずです。

上司・部下も同僚同士も、お互いの仕事に関心を持ち、ときに応じて称賛や協力を惜しまない職場の空気、いわゆる「心理的安全性」を醸成することが、従業員の満足度を高めるのです。

1-2-5. 職場環境

人間関係と近い要素として、働きやすい職場環境も挙げられます。

  • ワークライフバランスを実現できるような労働条件、就業規則が整えられている
  • 従業員に配慮した福利厚生やサポート体制が揃っている

といった、いわゆる「ホワイト企業」の条件にかなっていれば、従業員の満足度は高まるでしょう。

国が推進する「働き方改革」の影響もあって、近年はブラック企業的な職場環境の改善に乗り出した企業も増えているようです。
ひとりでも多くの従業員に、満足して長く働いてもらうためには、一人ひとりのワークライフバランスに寄り添える、より働きやすい制度作りを進める必要があるでしょう。

1-3. 従業員満足度が重視されている理由

上記のように、さまざまな要因によって左右されるのが従業員満足度ですが、近年この指標に注目が集まっているのには、以下のような理由があります。

1-3-1. 少子高齢化による労働人口の減少

総務省の統計によると、日本の総人口は平成20(2008)年の1億2,808万人がピークでした。
その後、平成23(2011)年からは減り続け、令和3(2021)年4月1日現在の概算値は1億2,541万人です。
これは、前年同月と比べると52万人、0.42%の減少となっています。

また、同じく令和3(2021)年4月1日現在の概算値では、
・15歳未満人口:1,492万人/11.9%
・65歳以上人口:3,630万人/28.9%
となっていて、高齢者が子どもの2.4倍を超えている見込みです。

このように、現在の日本では、少子高齢化に歯止めがかかりません。

【総人口及び総人口に占める0~14歳、65歳以上及び75歳以上人口の割合の推移(平成元年~30年)】
総人口及び総人口に占める0~14歳、65歳以上及び75歳以上人口の割合の推移

出典:総務省統計局「統計が語る平成のあゆみ」、「人口推計-2021年(令和3年)4月報-

この流れを踏まえて、今後の労働力人口は、どんどん減少することが予想されています。
企業は少ない労働力を奪い合うことになるわけです。

そこで、よりよい人材を獲得するために、企業側が従業員満足度の向上を目指す必要が出てきたというわけです。

1-3-2. 人材の流動化

少子高齢化に加えて、従業員が企業に定着しにくくなっていることも理由のひとつです。

以下のグラフは、総務省の統計による転職者数の推移と、転職者比率(就業者に占める転職者の割合)の推移です。
いずれもじわじわと増加していて、いわゆる「人材の流動化」が進んでいることがわかります。

【転職者数の推移】
転職者数の推移

転職者比率の推移
転職者比率の推移

出典:総務省統計局「増加傾向が続く転職者の状況 ~ 2019 年の転職者数は過去最多 ~

企業としては、せっかくリソースを注いで育てた人材が、短期間で流出してしまうのは痛手ですよね。
それを未然に防ぎ、定着率を高めるためにも、従業員満足度を高める必要があるのです。

1-3-3. ワークライフバランスの推進

働き方改革を推進する政府は、2007年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を策定しました。

これは、「仕事と生活の調和=ワークライフバランスが実現した社会の姿」を目指すための指標とガイドラインで、それを実現するための条件として、以下の3つを挙げています。

「仕事と生活の調和が実現した社会」に必要とされる諸条件

1)就労による経済的自立が可能な社会
・若者が学校から職業に円滑に移行できること。
・若者や母子家庭の母等が、就業を通じて経済的自立を図ることができること。
・意欲と能力に応じ、非正規雇用から正規雇用へ移行できること。
就業形態に関わらず、公正な処遇や能力開発機会が確保されること。

2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
・企業や社会において、健康で豊かな生活ができるための時間を確保することの重要性が認識されていること。
労働時間関係法令が遵守されていること。
健康を害するような長時間労働がなく、希望する労働者が年次有給休暇を取得できるよう取組が促進されていること。
・メリハリのきいた業務の進め方などにより時間当たり生産性も向上していること。
・取引先との契約や消費など職場以外のあらゆる場面で仕事と生活の調和が考慮されていること。

3)多様な働き方・生き方が選択できる社会
・子育て中の親、働く意欲のある女性や高齢者などが、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様で柔軟な働き方が可能となる制度があり、実際に利用できること。
・多様な働き方に対応した育児、介護、地域活動、職業能力の形成等を支える社会的基盤が整備されていること。
就業形態に関わらず、公正な処遇や能力開発機会が確保されること(再掲)。

出典:内閣府「仕事と生活の調和」推進サイト「仕事と生活の調和推進のための行動指針」

中でも特に黄色で示した部分は、企業側に努力が求められる事柄です。
これらを実現して、ワークライフバランスのとれた働きやすい職場に改善することができれば、従業員の満足度も高まります。

つまり、企業としてあるべき姿への改善が進んでいるかをはかる指標としても、各企業は従業員満足度を重視するようになったというわけです。

2. 従業員満足度が高まることのメリット

従業員満足度が高まることのメリット

従業員満足度がなぜ注目されるのかはわかりましたよね。
ただ、満足度を高めるためには、企業としてはさまざまな取り組みを実行しなければなりません。

社内の制度を整備し、福利厚生を充実させ、従業員一人ひとりに目配りする必要があります。
そのためには、コストや人的リソースが割かれるわけですが、「果たしてそこまでするほどの意味があるだろうか?」と疑問に思う企業もあるでしょう。

結論からいえば、従業員満足度が高まることは、企業にとっても多大なメリットがあるのです。
この章では、4つのメリットについて解説していきましょう。

2-1. 生産性がアップする

まず第一のメリットは、生産性がアップし、結果として業績アップも期待できるという点です。

以下のグラフを見てください。
これは、厚生労働省が発表した統計です。

「従業員と顧客満足度の両方を重視する」という経営方針の企業と、「顧客満足度のみを重視する」という企業について、売上高営業利益率と売上高を比較していますが、前者の企業のほうが、業績が上がる傾向にあることがわかります。

従業員満足度と業績の関係

出典:厚生労働省「取り組みませんか? 「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保」

これはなぜでしょうか?

満足度の高い従業員には、

  • 仕事に対してのモチベーションが高い
  • 積極的かつ主体的、能動的に業務に取り組む
  • 職場の人間関係が円滑に進む

といった傾向があります。

そのような意欲的な従業員が増えれば、生産性も上がります。
また、新事業や新商品の開発などにも意欲的なので、結果として企業の業績アップにつながるのです。

2-2. 顧客満足度が向上する

前項に挙げたグラフにあるように、「従業員満足度」と「顧客満足度」はあわせて意識されることの多い概念です。
「従業員満足度の高い企業は、顧客満足度も高い傾向がある」と言われることも多いのですが、それは本当でしょうか?

これに関して、「従業員満足度,顧客満足度,財務業績の関係 ーホスピタリティ産業における検証一」(鈴木研—, 松岡孝介)という研究があります。

5種類のホテルブランドを展開するA社に関して、2005~2010年の6年間にわたり、
・従業員満足度(従業員アンケートで調査)
・サービスの質(顧客アンケートで調査)
・顧客満足度(顧客アンケートで調査)
・稼働可能客室当り粗利益
を調べて、その相関関係を分析したものです。

その結果、
従業員満足度→サービスの質→顧客満足度→財務業績
という関係が成立することがわかったそうです。

つまり、従業員満足度が上がる→サービスの質が上がる→顧客満足度も上がる→業績が上がる、という「正の関係」が連鎖するのです。

なぜこのような現象が起きるのでしょうか?

自社に高い満足感を感じている従業員は、企業への帰属意識や「貢献したい」という意識も高くなるため、仕事にも意欲的に取り組みます。

その結果、サービスの質が向上し、それを受ける顧客の満足度も高くなります。
顧客の満足度が高まれば、その企業にはリピーターやファンが増えて、業績も上がる、と考えられます。

企業としては、従業員満足度を上げることで、結果として顧客満足度も向上させることができるというメリットがあるのです。

2-3. 離職率が下がる

従業員の満足度が高いということは、企業に対して不満が少ないということであり、したがって離職率も下がって優秀な人材が定着するという利点もあります。

厚生労働省が発表した「平成30年雇用動向調査結果の概況」によると、転職者が前職をやめた理由は、「定年・契約期間の満了」「その他の理由」を除くと、男性では「給料等収入が少なかった」「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」がそれぞれ10%程度と多く、女性では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」「職場の人間関係が好ましくなかった」が多い結果となっています。

転職者が前職をやめた理由

出典:厚生労働省「平成30年雇用動向調査結果の概況」

職場環境や処遇に対する不満が、従業員の離職につながることがよくわかりますよね。

逆に考えれば、従業員満足度を高めるための重要な要素である「人間関係」「職場環境」が改善されれば、退職する従業員を減らすことができると予想されます。
人材の流出を未然に防ぎたいなら、従業員満足度を上げることは非常に有効なのです。

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2-4. 採用力アップ・採用コスト削減

既存の従業員が満足できる職場は、社外の人材にとっても魅力的に感じられるはずです。
つまり、「従業員満足度が高い」ということは、求職者に対しても強いアピールになります。

また、従業員からの紹介=リファラル採用にもつながりやすく、結果として優秀な人材が集まりやすくなるのです。

人材の確保は、企業にとっては重要な課題です。
採用にかかるコストも無視できません。
従業員満足度の向上は、それらの問題の解決も期待できる、大きなメリットのあることなのです。

3. 従業員満足度の調べ方

ここまでで、従業員満足度が企業にとっていかに重要かがわかったかと思います。
では、その満足度はどうやって調べればいいのでしょうか?
この章では、その調査方法を説明していきましょう。

3-1. アンケートによる調査とインタビューによる調査

従業員満足度の調査(ES調査)には、大きくわけて以下の2つの手法があります。

3-1-1. アンケートによる調査

基本的に従業員全員に対して行うアンケート調査です。
アンケート用紙、またはWEBのアンケートフォームなどを利用して実施します。

仕事について、上司について、職場環境についてなど、会社側が用意した質問項目について、それぞれの「満足度」を回答してもらい、それを集計して分析することで、従業員の満足度をはかる定量調査です。
満足度は、5段階で評価させることが多いようです。

無記名で行うことが多いため、従業員の率直な本音を知ることができますが、これでわかるのはあくまで「従業員全体の傾向」にとどまります。
個人の考えや事情まではわからないという弱みがあります。

3-1-2. インタビューによる調査

個別のインタビューによる聞き取り調査で、時間がかかるため、人数を絞って行うか、全員に行うにしても時期をわけて行う場合が多いようです。

アンケートとの違いは、匿名ではないこと、個別の考えや事情について深く聞くことができることです。
「満足しているか」だけでなく、「なぜ満足か(または不満か)」という理由や、「どう改善されれば満足か」という意見なども知ることができますが、誰が回答したかが会社側に知られてしまうため、本音を隠すケースもあるのが難点です。

実際の調査では、目的によってこのどちらかだけを実施してもいいですし、両方をあわせて実施して、より深く分析することもできます。

3-2. 調査項目

従業員満足度調査で調査する項目は、企業によって、また調査の目的によって異なります。
以下に主な項目の例を挙げますので、自社に合ったものを取捨選択して利用してください。

3-2-1. 従業員満足度調査(ES調査)の項目例

基本項目 ・性別
・役職
・年齢(年代)
・所属部署
・勤続年数
仕事について ・仕事にやりがいを感じるか
・仕事を通じて成長している実感はあるか
・自分のキャリアデザインに沿っているか
・会社に貢献できていると感じるか
・チャレンジできる環境があるか
・自分の裁量権は過不足ないか
業務負荷について ・仕事の難易度、業務量は適切か
・労働時間、残業は無理のない範囲か
・ワークライフバランスはとれているか
・業務に関してストレスなく取り組めているか
上司について ・上司の業務方針には納得できているか
・指導や育成の方法は適切か
・コミュニケーションはよくとれているか
・上司との関係性は良好か
・尊敬できる上司はいるか
会社について ・経営理念やビジョンには共感するか
・会社に将来性を感じるか
・企業風土には馴染めているか
企業風土について ・社内のコミュニケーションは十分だと思うか
・部署内では協力し合えているか
・他部署ともよく連携できているか
・お互いに尊重し、切磋琢磨できているか
人事・処遇について ・人事評価制度には納得できるか
・社員教育や研修の制度は充実しているか
・給料には満足か
・福利厚生は充実しているか
コンプライアンスについて ・職場では法令やルールが遵守されているか
・コンプライアンスへの取り組みは十分か
総合 ・全体的にどの程度満足しているか
・会社への信頼、愛着はあるか
・今後もこの会社に勤め続けたいか

3-3. 分析方法

アンケートを実施したら、集計・分析します。
その方法は、主に以下の3種があります。

3-3-1. 単純集計

まず、かならず行うのが単純集計です。
各項目ごとに、回答した人数や満足度(5段階の場合)を集計して平均値を出します。

その結果、

  • 平均値が高い項目=従業員満足度が高い:会社の強みとしてより強化していく
  • 平均値が低い項目=従業員満足度が低い:今後の課題として早急に改善していく

というように、改善点を洗い出すことができるでしょう。

ただ、これはあくまで従業員全体の傾向にすぎません。
平均値が高い項目についても、不満を持っている従業員はいますし、改善の余地もあるはずです。
それについてはまた別途、インタビュー調査などで把握に努めるといいでしょう。

3-3-2. クロス集計

次に、単純集計の結果を特定の属性に分けて集計するクロス集計を行います。

たとえば同じ項目を、

  • 男女別
  • 年齢別
  • 在籍年数別
  • 部署別
  • 役職別

といった切り口で仕分けるのです。

これをすると、「男女で待遇に差があるのでは?」「この部署だけ業務負荷が大きいのでは?」など、課題がより浮き彫りになります。

これをもとに、特に満足度が低いグループに対してインタビュー調査を行うなどすれば、満足度向上のために何をすべきかという具体的な施策を講じることができるでしょう。

3-3-3. 満足度構造分析

満足度が高い人は何に満足していて、逆に低い人は何が不満なのか、「満足度」の構造を分析することもできます。
手法としては、総合満足度が高い人と低い人にわけ、それぞれがどの項目で満足度が高く、どの項目で低いのかを見ていきます。

その結果は、以下のように判断できます。

満足度が高い人が特に満足している項目=従業員が会社に対して重視しているポイント
研修や資格取得に関して満足度が高ければ、「自分の能力を高めたい」という向上心の強い従業員が多いことになります。

満足度が低い人が特に不満をもっている項目=企業として特に改善が必要な課題点
人間関係の満足度が低ければ、職場でのコミュニケーションのあり方を早急に見直す必要があります。

このように、総合満足度と各項目の満足度の関係を見ることで、従業員が何を重視しているか、企業としてどの点から改善していけばいいかが洗い出されるのです。

これらの集計・分析は、社内の人力で行うことも可能ですが、ITツールを使ったり、外部の調査会社に依頼したりすれば、手間なくより正確に結果を導き出すことができますので、利用を検討してみてください。

4. 従業員満足度を向上させる方法

従業員満足度を向上させる方法

では、従業員満足度を向上させるにはどうすればいいでしょうか?
調査・分析の結果、具体的な問題点が判明すれば、それを改善していけばいいでしょう。

それと同時に、一般的に従業員満足度を高めるために行うべきこともいくつかあります。
この章では、それらの方法を挙げておきましょう。

4-1. 企業のビジョンを共有する

まず最初に行ってほしいのは、従業員一人ひとりに対して企業のビジョンを共有することです。

企業のビジョンや理念は、その企業が顧客や社会に対してどんな貢献をし、何を実現していくのかを掲げるものです。
本来は、このビジョンを経営陣も全従業員も共有し、同じ目標に向かって日々の業務を行うのが理想です。

このビジョンを理解し共感している従業員は、企業に対する信頼や帰属意識も高く、仕事にやりがいと一体感を感じながら意欲的に取り組むようになります。

逆に、ビジョンが共有されていなければ、従業員個人個人がバラバラな目標のために動いているわけで、日常の業務にも差支えが生じるでしょう。

ビジョンは、ただ壁に貼って掲げたり、年次総会のときだけに社長が訓示を垂れたりするだけでは浸透しません。

  • 経営陣、管理職が日常的に繰り返し従業員に伝え続ける
  • 冊子などにまとめて従業員全員に持たせる

といった方法をとるといいでしょう。

4-2. 職場の環境を改善する

次に、職場環境を見直して、少しでも問題があればすぐに改善しましょう。

ひと口に「職場環境」といっても、そこにはさまざまな要素が含まれます。
たとえば、オフィスの設備や内装といった物理的なものから、上司や同僚との人間関係、勤務時間や勤務体制に至るまで、実に幅広い事柄が従業員の「働きやすさ」を左右するのです。

企業としては、従業員が快適に働けることを目指して、これらを改善しなければなりません。
特に、コロナ禍でテレワークが増えるなど、職場環境はこれまでとは大きく変容しています。

その中で、何をどう変えていくべきかは、今後の従業員満足度を左右する重要なポイントになるでしょう。

  • 従業員自身の要望をアンケートで集めて、不満点を改善する

などの対策で、よりよい職場づくりに努めてください。

4-3. 人事評価制度を見直す

2-3. 離職率が下がる」で紹介した厚生労働省「平成30年雇用動向調査結果の概況」にもあるように、転職者の退職理由の中で、「給料等収入が少なかった」ことが上位を占めています。
給与を含めた処遇は、従業員の満足度に深くかかわる要素なのです。

そこで、従業員自身が自分の処遇に納得できるような、公正で透明性のある人事評価制度を整える必要があります。

  • 「男性と女性で昇給や昇進のしかたが異なる」「営業成績はいいのに査定が低く、その理由がわからない」「数値化されにくい間接部門は、昇給・昇進が遅く基準があいまい」といった不公平感、不透明性があれば是正する
  • 「仕事内容も成績も変わらないのに、上司が変わったら査定が下がった」など、評価の属人化が問題の場合は、評価基準を明確に定めて従業員に公表する

といった必要があります。

また、以下のような人事評価制度の中から、自社に合ったものを取り入れるのもいいでしょう。

  • 目標を設定して、その達成度を評価基準にする「目標管理制度(MBO)」
  • あらかじめ設定した評価項目にもとづく「コンピテンシー評価」
  • 上司だけでなく同僚や部下からの評価も含めた「360度評価」

4-4. 福利厚生を充実させる

もうひとつ、従業員満足度に大きく影響するのが福利厚生です。

福利厚生が充実している企業は、「従業員を大切にしている」というイメージもあり、最近では「福利厚生を基準にして企業を選ぶ」という就活生もいるほど重視されています。

といっても、福利厚生もまた幅広い要素を含んでいて、中には他社にはないユニークな福利厚生制度をつくっている企業もあるため、充実させようとすればきりがない、とも思われるでしょう。

そこで、まずは以下のような制度から見直してみてください。

  • 有給休暇:より取りやすい環境を整える
  • リフレッシュ休暇
  • 育児休暇:法定以上の期間を認める
  • 介護休暇:法定以上の期間を認める
  • 住宅手当、家賃補助、社員寮
  • 社員食堂、食事補助
  • 資格取得補助
  • 人間ドック、がん検診などの補助

「同業他社以上」「法定以上」の福利厚生があれば、従業員の満足度は高まります。
企業が従業員を大切にすれば、従業員もまた企業を大切にする好循環が生まれるのです。

4-4. チームビルディングに取り組む

チームビルディングとは、メンバーのスキルや個性を最大限に発揮させながら、チーム力を向上させ、共通の目標達成に向けて取り組めるようにする組織づくりのことです。

生産性の向上はもちろん、従業員満足度を高めて定着率をアップさせ、離職率を下げる効果が見込めます。

チームビルディングに取り組むことで、以下のようなメリットが期待できます。

  • メンバーが互いを尊重し合いながらチームとしての絆を築くことができる
  • 高いパフォーマンスを発揮できる
  • 部署全体、ひいては企業全体の生産性がアップする
  • 企業のビジョンを浸透させることができ、共通の価値観の下に目標達成できる

こうしたことを通じてチームの結束力が高まり、従業員満足度の向上につながります。

4-4-1. 適切なメンバーを集める

チームビルディングを成功させるには、紹介したように「メンバー」が重要なポイントになります。
しかし、少人数で多くの業務を担う傾向がある人事担当が、理想のメンバーを発掘し採用するのは簡単なことではないでしょう。

そんな人事担当者の負担を減らし、チームビルディングをしやすいメンバーを採用するお手伝いをするのがCIY®です。

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さらに診断結果により入社時点で採用者の個性や強みが把握でき、効率的にチームビルディングを進めていくことができます。

5. 従業員満足度を向上させた事例

実際に、従業員満足度を高めたことで成果を上げた企業は、どんな取り組みをしたのでしょうか?

ここではその事例をふたつ挙げています。
いずれも「働きがいのある会社ランキング」で受賞した企業です。

このランキングは、従業員へのアンケートと会社へのアンケートをもとに、その企業の「はたらきがい」を点数化しているので、従業員の会社に対する満足度が反映されたものです。

5-1. 株式会社セールスフォースドットコム

顧客管理(CRM)などITツールの開発、販売で知られる株式会社セールスフォース・ドットコムは、20年前から「社員がイキイキと自分らしく働けて、イノベーションが起こるような働き方」を実現するよう目指してきたといいます。
そのために、さまざまな取り組みを行っていて、

  • 評価の透明化:5人以上部下をもつマネージャーの評価を全社に公表
  • 在宅勤務、フレックス制度、フリーアドレス制を導入:働く場所と時間を選べる
  • 社内SNS「chatter」を開設:全社的に活発なコミュニケーションが実現
  • ウェルビーイング補助:健康維持に取り組む社員に、1万円/月の補助を支給

などで従業員の意欲を高めています。

その結果、2019年度の「働きがいのある会社ランキング」で1位に輝きました。
また業績も好調で、20年にわたって20%以上の売上高成長率を誇っているそうです。

5-2. MIAKTA株式会社

MIAKTA株式会社は、EC・通販業界専門メディア「ECのミカタ」、総務・人事・経理担当者向けメディア「オフィスのミカタ」などを運営する企業です。

前身となる企業を2007年に創業、2018年には3つの会社とその持ち株会社からなるグループへと成長しました。

が、4社のオフィスがわかれたことで、経営陣のガバナンスが行き届かなくなってしまいました。
従業員は売上しか眼中になく、クライアントからのクレームも増えていったといいます。
そこで、以下のような改革を行いました。

  • MISSION・VISION・VALUEの再構築。「五方よし」の実現を目指す
  • 全員参加の朝礼・夕礼を開始
  • 代表と社員との月1面談実施
  • 部署の縦割りや情報格差をなくす
  • 個人よりもチームプレーでの結果を重視した評価制度
  • 月初会での経営数字の公開
  • 人事評価制度、360度評価の実施
  • 社員同士の交流を盛んにするため、飲食代を補助

その結果、従業員満足度は42%から85%に急上昇しました。
「働きがいのある会社」ランキングでも、61位に選出され、今後の成長が期待される企業となっています。

6. まとめ

いかがでしょうか?
従業員満足度についてよく理解できたかと思います。

では最後に、記事の内容をまとめておきましょう。

「従業員満足度」とは、企業に属する従業員が自社にどの程度満足しているかを示す指標

従業員満足度が上がると

  • 生産性もアップする
  • 顧客満足度が上がる
  • 離職率が下がる
  • 採用力アップ、採用コスト削減ができる

従業員満足度を挙げる方法は、

  • 企業のビジョンを共有する
  • 職場の環境を改善する
  • 人事評価制度を見直す
  • 福利厚生を充実させる

以上を踏まえて、ご自身の会社が従業員満足度を高められるよう願っています。

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