更新:2023.04.10|公開:2021.05.08
離職率が高い基準・業界ランキングと離職率を下げる取り組みを解説
「うちの会社は離職率が高いのでは?」と感じたとき、まず気になるのが基準・平均は何パーセント?というところではないでしょうか。
結論からお伝えすると【離職率の全国平均は11.4%(2019年)】です。
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目次
この記事のポイント
離職率の計算式や業界ランキングは本文中で詳しく解説していますが、離職率が高いまま放置すると、最終的には企業の存続を危うくするほどのデメリットがあります。
自社の離職率を正しく把握したうえで、離職率が高い原因を探り、適切な取り組みをスタートしなければなりません。
そこで本記事では、企業にとって実は非常に重要な「離職率」について、基本から改善策まで詳説します。
本記事のポイント
- 離職率の計算式・平均か・業界ランキングのデータをもとに自社の位置を把握できる
- 離職率が高くなる原因を詳しく解説
- 高い離職率を下げる改善策・取り組みまで網羅
「離職率が高いことについて、広く情報収集したい」
「自社の離職率を下げたい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、「離職率の基礎知識」はもちろん、高い離職率を放置した場合のデメリットから、離職率を下げるために何をすべきかまで、深く理解できます。
結果として、自社の離職率低下を達成できるはずです。ではさっそく離職率についての解説を始めましょう。
1. うちの会社の離職率は高い?計算式と基準
「うちの会社は離職率が高い」といった問題意識を持つ経営者や人事担当者は多いですが、具体的に計算したことはあるでしょうか。
まずは離職率を計算したうえで、平均の目安値と比較し、“本当に離職率が高いのか”を確認してみましょう。
1-1. 離職率の計算方法
離職率の定義や計算式は企業にとって独自に設定しているケースもありますが、一般的には「従業員全体のうち、ある一定期間に離職した人の割合」です。
例えば、厚生労働省が雇用動向調査において使用している計算式は、
【離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100(%)】
となっています。
出典:厚生労働省「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況」
企業においては【離職者数 ÷ 期初の従業員数 × 100(%)】で計算するのが一般的です。
例として、以下の企業の計算例を見てみましょう。
▼ 企業データ
・決算月:3月
・2020年4月1日時点の従業員数:100人
・2020年4月1日〜2021年3月31日の離職者数:15人
▼ 離職率の計算例
離職率 = 15人 ÷ 100人 × 100 = 15%
離職率は【15%】という計算結果となりました。
1-2. 離職率の全国平均は11.4%(2019年)
自社の離職率が計算できたら、この離職率が高いのか・低いのかを評価しましょう。
結論からお伝えすると【一般労働者の離職率の全国平均は11.4%(2019年)】となっています。
以下は厚生労働省の常用労働者(期間を定めずに雇われている者または1カ月以上の期間を定めて雇われている者)を対象とした調査からの引用です。赤色の点線が離職率を示しています。
1-2-1. 入職率・離職率の推移
出典:厚生労働省「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況」
令和元年(2019年)の離職率は【15.6%】となっています。
ただし、上記のグラフにはパートタイム労働者も含まれており、パートタイム労働者とそれ以外(一般労働者)別のグラフは以下のとおりとなります。
1-2-2. 就業形態別入職率・離職率の推移の推移
出典:厚生労働省「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況」
グラフが上下2つに分かれていますが、上がパートタイム労働者・下が一般労働者(パートタイム労働者以外)となっています。
令和元年(2019年)の一般労働者の離職率は【11.4%】となっており、この数値を離職率のひとつの基準ととらえることができます。
2. 離職率が高い業界ランキング
離職率は業界によって、高い・低いの傾向が変わりますので、業界別の傾向もチェックしておきましょう。
以下は産業別の入職率・離職率のグラフです。緑色が離職率を示しています(パートタイム労働者を含む常用労働者全体のデータ)。
2-1. 産業別入職率・離職
出典:厚生労働省「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況」
離職率が高い順に整理すると、以下のとおりです。
2-2. 離職率が高い業界ランキング
第1位:宿泊業、飲食サービス業(33.6%)
第2位:生活関連サービス業、娯楽業(20.5%)
第3位:サービス業(他に分類されないもの)(18.8%)
第4位:教育、学習支援業(17.7%)
第5位:卸売業、小売業(15.4%)
第5位:電気・ガス・熱供給・水道業(15.4%)
第7位:不動産業、物品賃貸業(15.1%)
第8位:医療、福祉(14.4%)
第9位:運輸業、郵便業(12.5%)
第10位:鉱業、採石業、砂利採取業(11.0%)
第11位:金融業、保険業(10.7%)
第12位:学術研究、専門・技術サービス業(10.6%)
第13位:情報通信業(9.6%)
第13位:製造業(9.6%)
第15位:建設業(9.2%)
第15位:複合サービス事業(7.9%)
前述のとおり、離職率の基準は常用労働者(パート含む)で【15.6%】、一般労働者(パート含まない)で【11.4%】です。
この基準値に、「自社の業界は、離職率が高い業界か・低い業界か」の情報も加味して、自社の離職率が高いのか・低いのか判断すると良いでしょう。
例えば、同じ離職率【15%】でも、 業界として離職率が低い製造業であれば「高い」 という判断になりますし、 業界として離職率が高い飲食業であれば「低い」と判断できます。
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3. 離職率が高い7つの原因
離職率が基準や業界の平均よりも高い企業には、必ず原因があります。代表的な7つの原因を見ていきましょう。
離職率が高い7つの原因
- 職場の人間関係が悪い
- 長時間労働が常態化している
- 業務上のストレスが大きい
- 会社の将来性が感じられない
- 従業員にとって成長できる場でない
- 事業内容にやりがいを見いだせない
- 給料が安い
ご自身の職場の状況と照らし合わせながら、読み進めてみてください。
3-1. 職場の人間関係が悪い
1つめの原因は「職場の人間関係が悪い」です。
▼具体例
- 職場全体にギスギス・イライラとした雰囲気が蔓延している
- パワハラまがいの叱責をする上司がいる
- 不機嫌さを前面に出す社員が幅を利かせている
- 社員同士が協力し合うのではなく責任のなすり付け合いをしている
- あいさつをしない・無表情の人が多い
離職率が異常に高い職場は、ほぼ100%、職場の人間関係や雰囲気に問題があります。
ギスギス・イライラとした雰囲気で、特定の問題社員(パワハラ上司や不機嫌社員など)がいれば、周囲が気を遣ってビクビクとしていることもあります。
チームワークがなく、社員同士が協力し合うよりも、責任のなすりつけ合いになっていたら、いよいよ要注意です。例えばほかのチームメンバーから何かを依頼されたとき、「まずは拒否・否定から入る」ことが無意識の習慣になっている職場は、危険シグナルが灯っています。
あいさつも必要最低限で、無表情の人が多いのも、離職率が高い職場の特徴です。
3-2. 長時間労働が常態化している
2つめの原因は「長時間労働が常態化している」です。
▼ 具体例
- 就業時間を過ぎても上司や同僚からチャットやメールが届くのが当たり前の環境
- 残業や休日出勤したほうが「熱心だ」と褒められる
- 過労で体調が悪そうな社員がいる
- 長時間労働しないと追いつかない業務量を与えられて逃げ場がない
- 明らかな人員不足なのに上層部が人を採用してくれず結局残業するしかない
働き過ぎにより、「何となくみんなが疲れている」感じが漂っていると、離職率が高くなります。人は不健康な雰囲気を本能的に好まないため、会社から離れたくなってしまうのです。
もちろん、自分自身が長時間労働により心身の健康を損なってくと、やがて限界に達し「辞めたい」と思うときが来ます。
長時間労働が常態化していても、社会的ステータスが非常に高い企業や年収が桁違いに高い企業の一部には、離職率が低いケースがあります。しかし、一般的な中小企業では、長時間労働が常態化すれば、確実に離職率が高くなります。
3-3. 業務上のストレスが大きい
3つめの原因は「業務上のストレスが大きい」です。
▼ 具体例
- 威圧的な取引先とやり取りしなければならない
- 顧客のクレームを受ける仕事をしている
- コミットした目標を達成するためのプレッシャーが強い
- きつい営業ノルマを課せられている
「仕事がキツい」と感じさせる負荷が大きな仕事は、離職率が高まる原因になります。
例えば同じ企業でも、厳しく成果を求められるマーケティング職や、ノルマのある営業職の離職率が高くなるケースは多く見られます。
あるいは、取引先や顧客から受けるストレスが大きい職種(営業、接客業、コールセンターなど)も、離職率が高くなる傾向にあります。
3-4. 会社の将来性が感じられない
4つめの原因は「会社の将来性が感じられない」です。
▼ 具体例
- 会社の業績が低下し続けている
- 経営トップに実力や才能を感じられない
- 扱っている商品やサービスに価値があると思えない
従業員にとって、“勤め先の企業から安定的に給料を得て自分の生活を安定させること”は、大前提の根幹です。その根幹が揺らぎかねない状況であれば、離職率が高まる原因となります。
例えば、会社の業績が低下し続けていれば、従業員は「この先、どうなるのだろう?」と不安を抱くのは当然です。
そんなとき、「うちの社長なら大丈夫」と経営陣を信頼できれば良いのですが、残念ながら実力や才能が感じられないとなれば、離職するしかありません。
あるいは扱っている商品やサービスに価値を感じることができず、会社の将来性を信じることができない場合にも離職率は高くなります。
3-5. 従業員にとって成長できる場でない
5つめの原因は「従業員にとって成長できる場でない」です。
▼ 具体例
- 何年経っても同じ仕事の繰り返しでマンネリ化
- 古いノウハウに固執したビジネスモデルで新しい知見を得られない
- 「この人のようになりたい」と思える人材が社内にいない
多くの人が程度の差こそあれ、成長欲求を持っています。自己実現に向かって絶えず成長し続けたいという欲求です。
毎日が同じ仕事の繰り返しでマンネリ化していたり、過去の遺物ともいえるような古いノウハウでビジネスを行っていたりすると、成長欲求が満たされないため、離職率が高くなります。
また「この会社に居続けても、なりたい自分になれるとは思えない」場合、従業員は離職を決断しやすくなります。
3-6. 仕事にやりがいを見いだせない
6つめの原因は「仕事にやりがいを見いだせない」です。
▼ 具体例
- 仕事を通して誰かのためになっているという実感がない
- 仕事をがんばっても公平に評価されない
- 仕事がつまらない
- 会社の方針や経営陣の考え方に共感できない
人には、「やる意味」を感じられないことを強制されると精神的苦痛を感じるという性質があります。
その性質を利用して、過去には「目的を告げずに穴を掘らせ、掘った穴をまた自分で埋め直す」ことを囚人の刑罰としていた国があったほどです。
仕事にやりがいを見いだせず「無意味だ」と感じれば、同じ仕事を続けることは非常に難しくなります。
ではなぜ仕事にやりがいを見いだせなくなるかといえば、理由は大きく3つ挙げられます。
▼ やりがいを見いだせなくなる3つの理由
- 適切な人事評価制度を導入していない
- 企業理念がない、あっても浸透していない
- 仕事の意義や目的を伝えていない
自社の労働状況が「目的を告げずに穴を掘らせる」ことになっていないか、確認が必要です。
3-7. 給料が安い
7つめの原因は「給料が安い」です。
▼ 具体例
- 仕事内容や我慢しているストレスに対して報酬が見合わない
- 競合他社の知人に比較して自分のほうが給料が安い
- 大学時代の同期のなかで自分の年収は低いほうだ
ここまで6つの原因を解説してきましたが、「不満な部分を加味しても、十分な報酬を得ている」という実感があれば、離職は思いとどまる人が多いものです。
逆に、「不満に見合う報酬を得ていない。自分は損している」と感じれば、もうその会社に居続ける理由はありません。
また賃金には相場がありますので、競合他社などに比較して給料が安い場合には、離職率が高くなります。
4. 離職率が高いまま放置すると起きる問題・デメリット
ここまでお読みいただき、
「うちの会社は離職率が高いし、離職率が高い原因にも心当たりがある」
と感じている方もいるかもしれません。
そのまま放置するとどんな問題が起きるのか、知っておきましょう。
4-1. 離職率はますます高まる
まず、離職率はますます高まります。なぜなら、従業員の離職は連鎖するからです。
今までは転職意欲が漠然としていた社員も、ほかの社員が続々と辞めていくのを見れば、取り残されたくないという思いが強くなります。
人間関係に問題がある職場の場合、特定の問題社員(パワハラ上司や不機嫌社員など)以外の社員がどんどん減るため、職場はより居心地が悪くなります。
離職率が高くなった職場で、様子を見ているうちに自然と離職率が回復することは、まずありません。
具体的に対策を打って、離職率を早急に回復させなければなりません。
4-2. 採用コスト・教育コストが垂れ流しになる
次に、採用コストや人材の教育コストが垂れ流し状態になります。
離職率が高いままに採用活動を続けたり、人材の育成を続けたりすることは、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けているようなものです。
まずはバケツの穴をふさぐ( =離職率を下げる)取り組みから着手しなければ、多大なコストが無駄となります。
現実には、コスト垂れ流し状態で自転車操業を続けている企業も多いため、注意が必要です。
4-3. 人材不足で企業の存続が危うくなる
離職率がますます高まったまま、採用コスト・教育コストの無駄使いを続けていくと、最終的には人材不足で企業の存続自体が危うくなります。
企業は、つい目の前の売上や顧客獲得に注力しがちですが、実は高い離職率は、倒産に追い込むほど企業をむしばんでいくものです。放置して良いものでは決してありません。
離職率が高い職場は、ますます優秀な人材を獲得しにくくなり、獲得しても流出が止まらないため、業績を上げることのできる人材が不在になります。
そうなれば当然、売上は立たず顧客の獲得もできず、やがて企業は存続できなくなります。
高い離職率は、その兆しが見えたら即対応し、できる限り早く離職率を下げる必要があるのです。
5. 高い離職率を下げる改善策・取り組み
では具体的に離職率を下げるためにはどうすれば良いのでしょうか。7つの改善策をご紹介します。
離職率を下げる7つの改善策
- 問題社員を発見し改善を促す(難しい場合は配置変更する)
- 新入社員のサポート制度を導入する
- 働き方改革を実践して労働環境を改善する
- 従業員のメンタルケアをするための制度をスタートする
- 企業理念を明確にし社内に浸透させる
- 従業員が納得できる人事評価制度を導入する
- 自社に合わない社員を採用しない
それぞれ見ていきましょう。
5-1. 問題社員を発見し改善を促す(難しい場合は配置変更する)
1つめの改善策は「問題社員を発見し改善を促す(難しい場合は配置変更する)」です。
雰囲気が悪い職場では、多くの場合その元凶となっている問題社員が存在します。
一見、エース社員として業績は上げていることも多いため、注意深く状況把握を行い、問題がどこにあるのか見極めることが大切です。
具体的には、社内で匿名のアンケート調査を行う・離職する社員に丁寧なヒアリングを行うなどして、1人の従業員ではなく複数の従業員から、多角的に情報収集をしましょう。
問題のある社員には適切な指導を行って改善を促します。改善が難しい場合には、配置転換や業務内容の変更などによって、ほかの社員に悪影響を与えないよう隔離する必要があります。
アクションプラン
- 注意深く状況把握を行い問題社員を発見する
- 問題社員に改善を促す
- 改善しない場合はほかの社員に悪影響を与えないよう配置転換する
5-2. 新入社員のサポート制度を導入する
2つめの改善策は「新入社員のサポート制度を導入する」です。
新入社員に対して、既存社員が自発的に手を差し伸べて協力し合う風土がない職場では、まず仕組みとしてサポート制度を導入し、制度を通して意識改革を促すことが効果的です。
新入社員の離職率を下げるための具体的な取り組み例としては、1on1・メンター制度・社員交流などがあります。
▼ 離職を減らす取り組みの一例
1on1 ミーティング | 上司と部下が定期的に1対1で行うミーティング。シリコンバレー式のマネジメントとして注目された手法で、目的は社員をサポート(支援)することにあり評価やフィードバッグの場ではない。社員個人に焦点を当て、対話を重ねることで信頼関係を築き、成長のサポートをする。 |
メンター制度 | 上司以外の先輩社員が「メンター」として担当につき、業務や業務以外の会社で生活するうえでの悩みや困りごとなどの相談に乗ってサポートする制度。上司との「縦の関係」に対して「斜めの関係」ともいわれ、社員の精神的な支えになる。 |
社員交流 | 社内イベント・社内サークルなどを通して社員同士のコミュニケーションを活発化し、組織の一体感やモチベーションの向上を図る取り組み。 |
自社に合う制度を選定し、積極的に取り組んでいきましょう。
アクションプラン
- 新入社員のサポート制度を検討・導入する
5-3. 働き方改革を実践して労働環境を改善する
3つめの改善策は「働き方改革を実践して労働環境を改善する」です。
働き方改革とは国が推進する政策で、“働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を
自分で「選択」できるようにするための改革”(出典:厚生労働省)のことです。
2019年4月より働き方改革関連法が施行されており、長時間労働の是正、有給休暇取得の義務化、フレックスタイム制やテレワークの推進が進められています。
離職率が高い企業ほど、働き方改革に積極的に取り組み、労働環境を改善しなければなりません。
まずは働き方改革についてしっかり学んだうえで、自社の改革に取り組んでいきましょう。
働き方改革について学ぶファーストステップとしては、厚生労働省のWebサイト「働き方改革特設サイト(支援のご案内) 」がおすすめです。必要な情報がコンパクトにまとめられています。
アクションプラン
- 働き方改革について学び、自社の改革に取り組む
なお、具体的にどんな取り組みをしていくべきかヒントが欲しいときには、「中小企業も働き方改革 ~成功の秘訣はやわかりガイド~」が役立ちます。
実際に働き⽅改⾰に取り組んだ会社の事例が、以下のカテゴリ別に整理されて紹介されているページです。
一通りチェックしてみると、自社に合うアイデアが浮かび、どう実践していくのが良いかイメージしやすくなるでしょう。
5-4. 従業員のメンタルヘルスへの取り組みをスタートする
4つめの改善策は「従業員のメンタルヘルスへの取り組みをスタートする」です。
従業員のストレスをケアするためには、メンタルヘルスへの取り組みが不可欠です。
職場のメンタルヘルスケアは、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の、“4つのケア”を主軸として行います。
出典:厚生労働省「職場における心の健康づくり〜労働者の心の健康の保持増進のための指針」
初めてメンタルヘルスに取り組む企業であれば、ファーストステップとして「第1回 何から始める?メンタルヘルスへの取り組み。」から読み進めることをおすすめします。
ある日突然、上司から「メンタルヘルス推進室を新たに設置したから、推進者として頑張ってやってくれ!」と言われた筆者の体験談をベースに、基礎知識から学ぶことができます。
アクションプラン
- 従業員のメンタルヘルスについて学び、必要な取り組みをスタートする
▼ 参考になる資料のリスト
5-5. 企業理念を明確にし社内に浸透させる
5つめの改善策は「企業理念を明確にし社内に浸透させる」です。
“仕事のやりがい”を感じられる職場づくりの第一歩は、自社の存在意義を明確にすることといえます。
そのために必須なのが「企業理念」です。明確な企業理念を持っていない企業や、企業理念を掲げてはいても形骸化している企業は、この機会に企業理念を見直しましょう。
具体的には、ピーター・ドラッカーも重要性を説いた「Mission・Vision・Value(MVV)」を設定するのがおすすめです。
アクションプラン
- 自社の企業理念(Mission・Vision・Value)を設定する
- 設定した企業理念を社内に浸透させる
参考までに、以下にMission・Vision・Valueの企業事例をリンクしておきます。
▼ Mission・Vision・Valueの企業事例
ほかにも、リスペクトしている企業や目指したい企業のMVVを参考にしながら、自社の企業理念を完成させましょう。
完成した企業理念は、経営トップからメッセージとして発信する・従業員の行動規範に反映するなどして、社内に浸透させていきます。
5-6. 従業員が納得できる人事評価制度を導入する
6つめの改善策は「従業員が納得できる人事評価制度を導入する」です。
公平で適正な人事評価制度は従業員のやりがいを高め、離職率を低下させる効果が期待できます。
現行の人事評価制度の見直しを行い、働きがいのある制度へと改善していきましょう。
社内に人事制度評価に詳しい専任者がおらず明確にルール化されていない場合には、まずは人事評価制度について学んだうえで、評価制度を構築する必要があります。
アクションプラン
- 現行の人事評価制度の見直しを行い、働きがいのある制度へと改善する
- 明確にルール化されていない場合は学んだ上で制度を構築する
人事評価制度の方法には、コンピテンシー評価・目標管理制度(MBO)・360度評価など、さまざまな方法があるため、広く情報収集をしたうえで自社に合う方法を取捨選択していくプロセスが重要です。
なお、コンピテンシー評価については以下の記事で解説しています。
▼ あわせて読みたいおすすめ記事
コンピテンシー評価とは?メリットデメリットとやり方を具体例で解説
5-7. 自社に合わない社員を採用しない
7つめの改善策は「自社に合わない社員を採用しない」です。
ここまで6つの改善策をご紹介してきました。すべての改善策をパーフェクトに実践したとしても、そもそも自社に合わない社員を採用すれば、離職率は下がりませんので注意が必要です。
社内環境の改善を行って離職率を下げ、社員が定着する受け皿ができたら、採用のミスマッチを防止して、自社に合う社員(潜在的な定着率が高い社員)を見極めて採用しなければなりません。
改めてこれまでの採用プロセスを見直し、より緻密な選考を行うことが求められます。
アクションプラン
- 採用プロセスや選考の評価基準を見直してミスマッチを防ぐ
「そうはいっても、具体的にどうすればわからない」という場合には、採用のミスマッチを防ぐツールの導入がおすすめです。
例えばCIY®は、企業の理想の人材を明確にしたうえで、応募者に適性検査を実施し、企業と応募者のマッチ・ミスマッチが一目瞭然になるツールです。
候補者の適性を「求める人物像分析 × 適性検査」の組み合わせで分析するので、直感や主観ではなく、根拠あるデータをもとに自社に合う人材を判断できます。
また、適性検査の結果から、応募者ごとに「確認すべき質問」がカスタマイズされて自動生成される「面接台本」というツールも利用可能です。
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6. まとめ
離職率は【離職者数 ÷ 期初の従業員数 × 100(%)】の計算式で計算するのが一般的で、離職率の全国平均は11.4%(2019年)です。
離職率が高い業界ランキングは以下のとおりです。
▼離職率が高い業界ランキング
- 第1位:宿泊業、飲食サービス業(33.6%)
- 第2位:生活関連サービス業、娯楽業(20.5%)
- 第3位:サービス業(他に分類されないもの)(18.8%)
- 第4位:教育、学習支援業(17.7%)
- 第5位:卸売業、小売業(15.4%)
- 第5位:電気・ガス・熱供給・水道業(15.4%)
- 第7位:不動産業、物品賃貸業(15.1%)
- 第8位:医療、福祉(14.4%)
- 第9位:運輸業、郵便業(12.5%)
- 第10位:鉱業、採石業、砂利採取業(11.0%)
- 第11位:金融業、保険業(10.7%)
- 第12位:学術研究、専門・技術サービス業(10.6%)
- 第13位:情報通信業(9.6%)
- 第13位:製造業(9.6%)
- 第15位:建設業(9.2%)
- 第15位:複合サービス事業(7.9%)
離職率が高い原因として、以下が挙げられます。
- 職場の人間関係が悪い
- 長時間労働が常態化している
- 業務上のストレスが大きい
- 会社の将来性が感じられない
- 従業員にとって成長できる場でない
- 仕事にやりがいを見いだせない
- 給料が安い
離職率が高いまま放置すると、離職率はますます高まり、採用コスト・教育コストが垂れ流しになり、最終的には人材不足で企業の存続が危うくなります。
高い離職率を下げる改善策は以下のとおりです。
- 問題社員を発見し改善を促す(難しい場合は配置変更する)
- 新入社員のサポート制度を導入する
- 働き方改革を実践して労働環境を改善する
- 従業員のメンタルヘルスへの取り組みをスタートする
- 企業理念を明確にし社内に浸透させる
- 従業員が納得できる人事評価制度を導入する
- 自社に合わない社員を採用しない
離職率を下げることは、経営上の重要課題といえます。ぜひ今日からできる対策を始めましょう。
なお、離職理由については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ続けてご覧ください。
離職理由をランキングで解説!近年の傾向を踏まえた5つの対策も紹介