中堅社員との1on1|停滞期を打破する質問15選と進め方

「中堅社員との1on1で、毎回近況確認だけで終わってしまう」
「大きな問題はなさそうだが、最近少し停滞しているように見える」
——一定の経験を積んだ中堅社員との1on1では、新人・若手とは違った難しさがあります。
業務を一通りこなせるようになると、目立った困りごとが減る一方で、「このままでいいのか」「最近、新しい学びが少ない」といった感覚が生まれることもあります。
ただし、こうした状態を一律に「やる気が落ちた」「離職予兆だ」と判断するのは適切ではありません。
本記事では、中堅社員の停滞を考える一つの枠組みとして「キャリアプラトー」を紹介しつつ、現状・強み・次の挑戦を整理する15の質問と、1on1の進め方を解説します。
この記事でわかること
- 中堅社員の停滞を考える「キャリアプラトー」の基本
- 停滞感を言語化するための1on1質問15選
- 中堅社員との1on1で避けたいNG対応
- 停滞を整理し、次の行動へつなげる4ステップ
- 特性データを1on1準備の補助材料として使う方法
目次
中堅社員の停滞を考える「キャリアプラトー」とは
中堅社員の状態を見て、「中だるみしている」「やる気が落ちている」と本人の意欲だけで説明してしまうと、背景にある要因を見落とすことがあります。
停滞を考える枠組みの一つに「キャリアプラトー」があります。
キャリアプラトーは、昇進や仕事内容において、これまでのような成長・変化を感じにくくなった状態を捉える概念です。
パーソル総合研究所では、主に「階層プラトー」と「内容プラトー」の2つに整理しています。
参考:パーソル総合研究所「ミドル・シニア人材のキャリアの停滞~『キャリア・プラトー現象』の観点から」
ただし、中堅社員の停滞がすべてキャリアプラトーで説明できるわけではありません。
業務量、配置、上司との関係、家庭事情、健康状態など別の要因が影響している場合もあります。
1on1では「どのタイプかを診断する」のではなく、本人の状態を整理するための仮説として使います。
階層プラトー|昇進・昇格の見通しが見えにくい
組織のポスト数には限りがあるため、経験を積むほど昇進・昇格の機会が少なくなることがあります。
本人が次の役職を望んでいる場合は、「この先どう成長すればよいのか」が見えにくくなることがあります。
一方で、昇進を強く望んでいない社員もいます。
「昇進していない=本人が停滞している」と決めつけず、本人が今後どんな役割や成長を望んでいるかを確認することが重要です。
昇進以外にも、
- 専門性を深める
- 新しい業務領域を担当する
- 後輩育成に関わる
- 社内プロジェクトへ参加する
など複数の成長軸があります。
内容プラトー|仕事に新しい挑戦や学びを感じにくい
同じ業務を長く担当し、十分に習熟すると、「できることは増えたが、新しい学びが少ない」と感じることがあります。
この場合は、
- 任せる仕事の範囲を見直す
- 難易度や裁量を調整する
- 新しい役割・プロジェクトを検討する
- 本人が仕事の進め方を工夫できる余地を増やす
といった方法を検討できます。
ただし、本人が現在の仕事に十分な満足を感じている場合まで、無理に「次の挑戦」を求める必要はありません。
1on1では、まず本人が今の仕事をどう感じているかを確認し、必要があれば次の選択肢を一緒に整理するところから始めます。
停滞期を整理する1on1の質問15選
中堅社員との1on1で、「最近どうですか」「困っていることはありますか」だけを繰り返すと、話題が広がりにくいことがあります。
そこで、
- 現状の手応え・停滞感
- 強み・得意なこと
- 次の挑戦・キャリアの選択肢
の3つに分けて問いを用意します。
15問すべてを一度に聞く必要はありません。
その日のテーマに合う質問を1〜3問選び、答えを深掘りする方が実践しやすくなります。
現状の手応え・マンネリを言語化する質問
まずは、本人が今の仕事をどう感じているかを確認します。
- 以前と比べて、「できるようになった」と感じることは何ですか?
- 最近、「少し物足りない」「慣れてきた」と感じる場面はありますか?
- 最近の仕事で、手応えを感じるのはどんな場面ですか?逆に、惰性に感じる場面はありますか?
- 今の業務の一部を変えられるとしたら、減らしたいこと・増やしたいことはありますか?
- 最近、「やってよかった」と感じた仕事は何ですか?
「停滞していますか?」と直接聞くより、具体的な仕事や最近の変化から確認すると話しやすい場合があります。
強み・得意なことを再確認する質問
中堅社員になると、長く使ってきた強みほど本人にとって「当たり前」になっていることがあります。
- 周囲から「これはあなたに任せたい」と頼られるのは、どんな場面ですか?
- 自分では普通にできるけれど、周りから評価されることはありますか?
- 後輩や同僚から相談されることが多いテーマは何ですか?
- これまでで「自分らしく働けた」と感じる仕事やプロジェクトはありますか?
- その仕事のどんな要素が、自分に合っていたと思いますか?
上司側も、本人が実際に発揮している行動を具体的に返します。
「コミュニケーション力が高い」のような抽象表現だけではなく、
> 「関係部署との調整で論点を整理してくれて助かった」
のように、事実と結びつけて伝えると本人も理解しやすくなります。
次の挑戦・キャリアの選択肢を広げる質問
本人が変化を望んでいる場合は、次の選択肢を広げます。
- 数年後、どんな仕事をしていると「良い時間を過ごせた」と思えそうですか?
- 今の延長線上にない仕事で、少し興味があるものはありますか?
- 専門性を深める、後輩育成に関わる、新しい領域を担当するなど、今気になる方向はありますか?
- 会社や私(上司)から、どんな機会や支援があると次へ進みやすいですか?
- 次の半年で一つ試してみるとしたら、何をやってみたいですか?
ここでも「次は管理職を目指そう」など、上司側が先に進路を決めないことが重要です。
本人が現状維持を望んでいる場合は、その選択も含めて確認します。
一般的な1on1質問の引き出しを増やしたい場合は、1on1質問テンプレート50選|部下のタイプ別すぐ使える型も参考にしてください。
中堅社員との1on1で上司がやりがちなNG対応
中堅社員は経験がある分、「もう細かく支援しなくても大丈夫」と考えられやすい層です。
しかし、任せることと、対話や支援を減らすことは同じではありません。
NG1:「もうベテランだから大丈夫」で終わる
「任せている」「信頼している」という意図でも、役割や成長について話す機会までなくなると、本人が今後の選択肢を考えるきっかけも減ります。
経験がある社員ほど、細かな指示ではなく、今後の役割・挑戦・支援について対話することが重要です。
NG2:相談を聞いた直後に、上司が答えを決める
中堅社員が停滞感やキャリアについて話したとき、すぐに異動・昇進・役割変更などの解決策を提示すると、本人が何を求めているかを十分に確認できないことがあります。
まず、
- どこに引っかかっていますか
- どうなれば今より良くなりそうですか
- 今は整理したいですか、それとも意見も聞きたいですか
など、本人の認識や求めている支援を確認します。
必要な助言や情報は、その後に伝えます。
NG3:近況確認だけで毎回終わる
「最近どうですか」「問題ないです」で毎回終わると、1on1のテーマが固定化しやすくなります。
前回の話、最近の変化、今後やってみたいことなどをつなげて、対話に連続性を持たせます。
形骸化している1on1の立て直し方は、1on1の形骸化を防ぐ7つの方法|原因と立て直し方をご覧ください。
部下が話しにくそうな場合は、1on1で部下が話さない時の対処法|沈黙の3タイプ別ステップも参考になります。
停滞を整理し、次の行動へつなげる1on1の4ステップ
質問を用意するだけでなく、対話の流れも決めておくと進めやすくなります。
ここでは実務で使いやすい4ステップに整理します。
ステップ1:上司の観察を「事実」として共有する
最初に、上司が最近気づいた変化や良かった行動を一つ共有します。
たとえば、
> 「最近、後輩から相談を受ける場面が増えていますね」
のように、評価ではなく観察した事実から始めます。
「最近やる気がないように見える」のような推測を事実として伝えないことが重要です。
ステップ2:本人の現在地を確認する
前述の質問を使い、
- 今の仕事への手応え
- 物足りなさ
- 負担
- 今後の希望
を確認します。
キャリアプラトーという枠組みに当てはめること自体が目的ではありません。
本人の話を聞いた結果、停滞ではなく業務負荷や人間関係が中心課題だと分かる場合もあります。
ステップ3:強みと選択肢を整理する
本人の強みや、これまで評価されてきた行動を確認し、それを今後の選択肢と結びつけて考えます。
たとえば、
- 専門領域を深める
- 新規案件に参加する
- 後輩育成を担当する
- 社内横断プロジェクトに参加する
などです。
上司が「あなたはこれをやるべき」と決めるのではなく、本人が興味を持てる選択肢と、会社として提供可能な機会をすり合わせることがポイントです。
ステップ4:次回までに試す小さな行動を決める
その場で大きなキャリアプランを完成させる必要はありません。
たとえば、
- 興味のあるプロジェクトの担当者へ話を聞く
- 後輩育成を一部担当してみる
- 今の仕事で変えたい部分を一つ試す
- 必要なスキルや経験を書き出す
など、次回までに試せる行動を決めます。
次回の1on1で振り返り、「続ける・変える・やめる」を一緒に判断します。
CIY®才能カルテで中堅社員との1on1準備を支援する
中堅社員との1on1では、上司側も長く一緒に働いている分、「この人はこういう人」という見方が固定化していることがあります。
CIY®才能カルテでは、社員の特性をもとに、上司向けサマリー、1on1での質問候補、仕事の任せ方などを確認できます。
適性データは、本人の停滞原因や次の役割を決めるものではなく、関わり方や質問を考えるための仮説材料として活用します。
たとえば、
- どのような問い方なら考えを整理しやすいか
- どんな任せ方が本人に合いやすいか
- 上司が見落としている強みはないか
を考える際の補助材料にできます。
実際の役割変更やキャリアの方向性は、本人の希望、これまでの実績、組織側の機会などとあわせて判断します。
1on1全体の設計を確認したい場合は、1on1のやり方完全ガイド|目的・進め方・頻度・準備を実践解説をご覧ください。
離職対策全体の中で1on1をどう位置づけるかは、【2026年最新】離職防止・離職対策の完全ガイド|原因別の具体策と進め方で解説しています。
まとめ
中堅社員との1on1では、表面的に問題がないからこそ、現在の手応えや今後の希望を意識して確認することが重要です。
本記事のポイントは3つです。
第一に、キャリアプラトーは中堅社員の停滞を考える一つの枠組みとして使い、最初から原因を決めつけないこと。
第二に、「現状の手応え」「強み」「次の挑戦」という3つの観点から質問し、本人が今の仕事をどう感じているかを整理すること。
第三に、上司の観察を事実として共有し、本人の現在地を確認し、強みと選択肢を整理したうえで、次回までに試す小さな行動へつなげることです。
次回の1on1では、まず「最近、仕事で手応えを感じているのはどんな場面ですか?」という一問から始めてみてください。




