更新:2025.12.26|公開:2025.12.25
採用失敗の損失は年収の3倍?「とりあえず採用」が経営を圧迫する本当の理由

「とにかく人が足りない。猫の手も借りたい」 「応募が来たら、よほど変な人でない限り採用せざるを得ない」
日々、現場の最前線で戦う中小企業の経営者様にとって、人手不足はまさに死活問題です。選り好みしている余裕なんてない、というのが本音ではないでしょうか。
しかし、少し立ち止まって考えてみてください。 焦って採用した社員が「期待外れ」だったり、入社わずか3ヶ月で「辞めます」と言い出したりした時、会社に残るダメージはどのくらいあるのでしょうか?
実は、「1人の採用失敗による損失は、その人の年収の3倍」とも言われています。
本記事では、採用ミスマッチが引き起こす「見えない巨額損失」を具体的に試算し、コストをかけずに負の連鎖を断ち切るための「新しい人選の基準」について解説します。
目次
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図解(記事内容まとめ)
採用失敗の代償は「年収の3倍」?損失額をリアルに試算する
「年収の3倍なんて大げさだ」と思われるかもしれません。確かに、目に見える「採用費」や「給与」だけを見れば、そこまでの金額にはなりません。
しかし、経営の現場で起きている「損失」をすべて積み上げると、この数字は決して現実離れしていないことがわかります。
1人の早期離職で消える「400〜600万円」のキャッシュ
例えば、年収400万円の中途社員を採用し、半年で早期離職してしまったケースをシミュレーションしてみましょう。
1. 採用コスト:
人材紹介会社(エージェント)を利用した場合、年収の30〜35%が相場です。これだけで約120〜140万円がキャッシュアウトします。求人広告媒体を使った場合でも、数十万円の掲載費がかかります。
2. 在籍中の人件費
半年分の給与(200万円)に加え、社会保険料、交通費、PCや備品の購入費がかかります。これらで約250万円以上。
3. 教育コスト(見えないコスト)
ここが見落としがちです。新人に仕事を教えるために、現場のエース社員や上司が費やした時間はどれくらいでしょうか?
もし月50時間指導したとすれば、半年で300時間。エース社員の時給換算で考えれば、100万円近い生産性が教育のために消費されたことになります。
これらを合計すると、半年で約500万円前後のお金と時間が、何の成果も生まないまま消えてしまった計算になります。
利益率5%のビジネスモデルであれば、この500万円の損失を取り戻すために「1億円の売上」を作らなければならない——そう考えると、背筋が凍るようなインパクトではないでしょうか。
お金以上に痛い「組織へのダメージ」と「社長の時間の浪費」
金銭的な損失以上に経営者を苦しめるのが、定性的な「組織へのダメージ」です。
既存社員の疲弊
「せっかく教えたのに辞められた…」。徒労感は現場の士気を下げます。穴埋めの残業が続き、最悪の場合、エース社員の連鎖退職を招くリスクすらあります。
経営リソースの浪費
トラブル対応や再採用の面接のために、経営者自身の大切な時間が奪われます。本来、経営戦略やトップ営業に使うべき時間が「採用の後始末」に消えていくことは、最大の機会損失です。

なぜミスマッチは起きるのか?原因は「スキル」ではなく「相性」
これほどの損失を出さないために、履歴書や職務経歴書をしっかり確認しているはずです。それでもなぜ、ミスマッチは繰り返されるのでしょうか?
答えはシンプルです。辞める理由のほとんどが「スキル不足」ではないからです。
【厚労省データ】早期離職の最大原因は「人間関係」
厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」によると、早期離職した若手社員が挙げた退職理由のトップは「人間関係がよくなかった(25.5%)」等の人間関係や労働条件への不満が占めています。 ※出典:厚生労働省 令和5年若年者雇用実態調査の概況
また、多くの民間調査でも「社風が合わなかった」「上司と合わなかった」という理由が常に上位を占めます。
つまり、履歴書に書かれている「何ができるか(Skill)」よりも、目に見えない「性格や価値観が自社に合うか(Will / Culture)」という部分のズレこそが、早期離職の真犯人なのです。
面接だけで「人柄」を見抜くのは不可能に近い
「面接で人柄を見極めよう」と多くの経営者が努力されています。しかし、わずか数回の面接、しかも数十分の時間で、相手の本性を見抜くことは可能でしょうか?
応募者は当然「よそ行きの顔」を作ります。一方で面接官(経営者)も人間ですから、「ハキハキしていて第一印象が良い」「出身校が同じ」といったバイアス(先入観)にどうしても左右されます。
これを「勘と経験」だけで見抜こうとするのは、目隠しをしてバットを振るようなもの。あまりにも分が悪いギャンブルなのです。
あなたの会社は大丈夫?「採用ミスマッチ」危険度チェック
ここまで採用失敗の恐ろしさをお伝えしてきましたが、「うちはまだ大丈夫だろう」と思われているかもしれません。 しかし、ミスマッチの種は、普段の何気ない採用フローの中に潜んでいます。
以下の項目に、あなたの会社はいくつ当てはまりますか?
【「勘と経験」依存度チェックリスト】
✅️ 面接官(役員や現場社員)によって、評価するポイントがバラバラだ
✅️ 採用理由を聞くと「地頭が良さそう」「元気がいい」といった抽象的な言葉が返ってくる
✅️ 「自社に合う人物像」を言語化しておらず、明文化された基準がない
✅️ 応募者の経歴(学歴や前職の社名)が良いと、つい評価を甘くしてしまう
✅️ 面接での会話は弾んだのに、入社後に「おとなしい」「受け身だ」と感じることがある
✅️ 過去1年以内に、入社半年未満で退職した社員が1名以上いる
診断結果
- 0個: 素晴らしい採用体制です。
- 1〜2個: 黄信号です。個人のスキルに依存した採用になっており、面接官の当たり外れが生じています。
- 3個以上: 赤信号(危険水準)です。 いつ「数百万の損失」が出てもおかしくない状態です。今はたまたま運良く回っているだけかもしれません。「人を見る目」を標準化する仕組みづくりが急務です。
ブラックボックス化した「資質」をデータで可視化する
では、どうすればこの「見えない相性」を見抜くことができるのでしょうか? その答えは、テクノロジー(適性検査)を使って、客観的なデータとして可視化することです。
中小企業に必要なのは「安くて・早くて・わかりやすい」適性検査
「適性検査」と聞くと、「大企業がやるものでしょ?」「難しくて使いこなせない」「コストが高い」というイメージがあるかもしれません。
確かに従来のツールは、専門的な読み解きが必要だったり、1人あたり数千円〜数万円のコストがかかったりと、中小企業には導入のハードルが高いものでした。
しかし、今は違います。CIY®(シーアイワイ)のような、中小企業のために設計された新しいツールがあります。
直感的なレポート
難しい心理学用語ではなく、企業の求める人物像とのギャプを「グラフ」や「数字」で表示され、誰でも一目瞭然でわかります。
面接サポート機能
分析結果に基づき、「この候補者の本音を引き出すには、面接でこんな質問をしてください」という具体的なアドバイスまで提示します。
たった数千円の投資で、数百万円の損失を防ぐ
適性検査の導入コストは、採用失敗による損失(数百万円)に比べれば、微々たるものです。いわば、採用という大きな投資に対する「少額の保険」です。
「とりあえず採用」でイチかバチかの勝負をするのではなく、事前にデータで「自社のエース社員と資質が似ているか」「配属先の上司とうまくやれそうか」を確認する。 たったこれだけのプロセスを加えるだけで、採用の勝率(定着率)は劇的に向上します。

採用ミスマッチと適性検査に関するよくある質問
最後に、中小企業の経営者様からよくいただく質問にお答えします。
Q1. 適性検査を導入すると、応募者が「選別されている」と感じて辞退しませんか?
A. 伝え方次第で、むしろ志望度は上がります。 昔ながらの「足切りのための学力テスト」は嫌がられる傾向にあります。
しかし、CIY®のような適性検査ツールであれば、「あなたの個性を正しく理解し、入社後のミスマッチを防ぐために行います」と伝えることで、応募者は「この会社は自分を大切にしてくれている」と好感を持ちます。 「お互いの幸せのために」というスタンスで行うことが重要です。
Q2. 「性格」や「相性」は、入社後の教育で変えられませんか?
A. 残念ながら、変えるのは非常に困難です。 人材には「変えやすい部分(スキル・知識)」と「変えにくい部分(性格・価値観・動機)」があります。
「Excelのスキル」は研修で習得できますが、「変化を好むか、安定を好むか」といった根源的な性格は、成人してから変えることはほぼ不可能です。 だからこそ、変えにくい「資質」の部分を採用段階で見極め、変えやすい「スキル」を入社後に教育するという順序が鉄則なのです。
Q3. 社員数が数名の小規模な会社でも、適性検査は必要ですか?
A. 小規模な会社こそ、1人のミスマッチが致命傷になるため必要です。 社員1,000名の会社で1人が辞めても影響は0.1%ですが、社員5名の会社で1人が辞めれば20%の戦力ダウンです。
また、小規模組織ほど人間関係の密度が濃いため、1人の相性が悪いだけで組織全体が崩壊するリスクがあります。 「人数が少ないからこそ、慎重にデータを見る」ことを強くおすすめします。
結論:「勘と経験」の採用から卒業し、データで「定着する人材」を迎え入れよう
採用ミスマッチは、単なる「運が悪かった」では済まされません。それは企業の利益を削り、組織を疲弊させる経営課題です。
原因が「見えない相性」にあるのなら、それを「見える化」すればいいのです。
面接官の勘だけに頼る採用は、もう終わりにしませんか? まずは、「自社に定着し、活躍している社員」がどんな資質を持っているのかを知ることから始めてみてください。
CIY®適性検査なら、今すぐ無料でトライアルが可能です。 まずは経営者であるあなたご自身や、社内のエース社員が受検してみてください。「うわ、当たってる…!」という驚きが、組織を変える第一歩になるはずです。







