更新:2024.10.28|公開:2021.05.11
採用ブランディングとは?メリットデメリット・やり方・注意点を解説
採用ブランディングとは“学生や転職者に向けたブランディング”のことです。
例えば「あの会社に入りたい!」「あの会社は働きがいがありそう」のようなポジティブな感情やイメージを醸成するための一連の取り組みを採用ブランディングと呼びます。
目次
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この記事のポイント
採用難ともいわれ人材の獲得が難しくなっている昨今では、学生や転職者に「入社したいと思ってもらえるか否か」が、企業の明暗を分けるといっても過言ではありません。
採用ブランディングは、「自社に入社したいと感じさせる力」を高めるために非常に有効な手法です。
よって本記事では、これからの採用活動のカギを握る「採用ブランディング」について、詳しく解説します。
本記事のポイント
- 採用ブランディングの基礎知識が身に付く
- メリット・デメリットの両面を解説
- 具体的なやり方や注意点まで理解できる
「採用ブランディングについて詳しく知りたい」
「採用ブランディングをやってみたい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、あなたは「採用ブランディングの基本」はもちろん、良い点・悪い点から実践方法まで、全体像が把握できます。
注意点や成功のコツも押さえられるので、成果の出る採用ブランディングを実行できるはずです。ではさっそく「採用ブランディング」の解説を始めましょう。
1. 採用ブランディングとは
まずは採用ブランディングの基礎知識から解説します。
1-1. 採用ブランディングとは学生や転職者に向けたブランディング
採用ブランディングとは、学生や転職者などに対して“働く場所”としての企業をブランディングすることです。
具体的には、仕事を探している人に「あの会社で働きたい」「あの会社は働きがいがありそう」など、自社で働くことについて、ポジティブな感情や良いイメージを持ってもらえるように働きかける一連の取り組みを、採用ブランディングといいます。
そもそもブランディングとは“ブランド力を高めるための活動”であり、ブランド力とは“より多くの人に信頼や愛着を感じさせる力”のことです。
これまで自社商品・サービスのブランド力を高めるために、消費者に対して実践されてきたブランディングを、自社の採用力を高めるために、学生や転職者に対して実践するのが採用ブランディングです。
採用ブランディングを実践すれば、採用ブランド力(=より多くの人に「入社したい!」と感じさせる力)が高まり、優秀な人材を獲得しやすくなります。
1-2. 売り手市場における採用ブランディングの重要性
近年、採用ブランディングが注目されている背景には、労働市場が売り手市場であり採用難が続いていることが挙げられます。
売り手市場においては、“自社に「入社したい」と思ってもらえるかどうか”が明暗を分けます。
学生や転職者など仕事を探している求職者の“入社したい気持ちを醸成しているモノ”は、賃金や労働時間などの労働条件だけではありません。
労働条件以外の、「その企業に対して無意識のうちに抱いているイメージや感情」が、入社したい気持ちに大きく影響しています。
そこで、入社したい気持ちを効果的に高めるために重要なのが、求職者が自社に対して抱くイメージや感情をポジティブへ導く採用ブランディングなのです。
1-3. 採用ブランディングが成功している企業の具体例
「もう少し採用ブランディングを具体的にイメージしたい」という方のために、身近な例を挙げましょう。
例えば、街を歩けばたくさんのコーヒーチェーン店が並んでいます。そんななか、学生たちのバイト先として絶大な人気を誇るのが「スターバックスコーヒー」です。
時給や勤務地などの条件はおいても、「私はスタバで働きたい」という人がたくさんいます。
“スタバで働くこと”に対して、多くの人がポジティブなイメージや感情を抱いているわけです。これが、採用ブランディングから得られる成果です。
採用ブランディングができていると、求人広告などのコストをかけなくても、優秀な人材が向こうからやってきます。具体的にどんなメリットがあるのか、次章で詳しく見ていきましょう。
2. 採用ブランディングのメリット
採用ブランディングに取り組むと、どんなメリットがあるのでしょうか。大きく3つ挙げられます。
- 小さな会社でも人気の就職先・転職先になれる
- 採用のミスマッチが減り離職率が下がる
- 働きやすさ・働きがいが向上し組織全体の生産性がアップする
それぞれ解説しましょう。
2-1. 小さな会社でも人気の就職先・転職先になれる
1つめのメリットは「小さな会社でも人気の就職先・転職先になれる」ことです。
採用ブランディングによって醸成される「採用ブランド力」と、企業の規模や知名度や扱う商品・サービスの認知度はリンクしません。
つまり、どんなに小さな会社で知名度の低い会社であっても、採用ブランディングのやり方次第で人気の就職先・転職先になれるのです。
これまで採用活動がうまくいかないことを、
「自社の知名度が低いからだ」
「選考プロセスで有名企業に競り負けてしまう」
……と感じていたのなら、採用ブランディングに活路を見いだせるはずです。
逆に少し厳しい言い方をすれば、採用活動がうまくいかないのは規模のせいでも知名度のせいでもありません。採用ブランド力がないからです。
採用ブランディングへの取り組みを通じて、規模や知名度に関係のない採用力を獲得できるようになります。
2-2. 採用のミスマッチが減り離職率が下がる
2つめのメリットは「採用のミスマッチが減り離職率が下がる」ことです。
採用ブランディングがもたらしてくれる重要な視点がひとつあります。それは“「採用のブランド力」と「商品・サービスのブランド力」は別”という視点です。
意図的な採用ブランディングを実践していない企業の場合、「“働く場所”としての企業イメージ」は、「扱っている商品・サービスのブランドイメージ」に引っ張られる傾向にあります。
例えば、「顧客に徹底的に寄り添う」というブランドイメージを持つ企業に入社したいと応募する人は、企業風土も「社員に寄り添ってくれる姿勢がある」と期待しがちです。
ところが、顧客に徹底的に寄り添うサービスを提供する社員たち自身のカルチャーは、個人主義の成果志向でサバサバとしており、期待していたような“寄り添い”はないかもしれません。
この「入社前に期待していたイメージと現実のギャップ」は、離職の原因となります。つまり、採用のミスマッチです。
採用ブランディングによって「“働く場所”としての企業イメージ」を正しく浸透させると、採用のミスマッチが減り、離職率を下げることができます。
2-3. 働きやすさ・働きがいが向上し組織全体の生産性がアップする
3つめのメリットは「働きやすさ・働きがいが向上し組織全体の生産性がアップする」ことです。
採用ブランディングのやり方は後ほどご紹介しますが、採用ブランディングを通して“働く場所”としての自社を見つめ直すことは、働きやすさや働きがいの向上へつながります。
誤解されやすいポイントなのですが、採用ブランディングは、求職者が自社に対して持つ表面的なイメージを操作する取り組みではありません。
良いイメージを持ってもらえるように、実体(自社の環境)を高めていくことこそ、採用ブランディングの本質であるともいえます。
採用ブランディングに取り組んでいくと、おのずと働きやすさや働きがいが向上していきます。それは、優秀な人材の獲得に寄与するのはもちろん、既存社員も含めた組織全体の生産性アップに貢献するのです。
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3. 採用ブランディングのデメリット
企業にとってメリットが大きな採用ブランディングですが、マイナス面もあります。
- 即効性はなく効果が実感できるまで時間がかかる
- 間違ったイメージが醸成されると修正が難しい
- 採用ブランディングに取り組むリソース確保が必要になる
順に見ていきましょう。
3-1. 即効性はなく効果が実感できるまで時間がかかる
1つめのデメリットは「即効性はなく効果が実感できるまで時間がかかる」ことです。
というのも、採用ブランディングは、学生や転職者たちが抱く「印象」に影響を与える取り組みなので、実行と同時に成果が挙がる類の施策ではありません。
例えば、「今月中に急きょ人材を採用しなければならない」のような緊急性の高い採用課題は、採用ブランディングでは解決が難しい分野です。
採用ブランディングは、今日・明日の採用ではなく、数ヶ月単位〜年単位で見たときの採用力を上げるために活用することが望ましいでしょう。
3-2. 間違ったイメージが醸成されると修正が難しい
2つめのデメリットは「間違ったイメージが醸成されると修正が難しい」ことです。
これは採用ブランディングに限らず“ブランディングそのもの”の特性といえますが、一度、人々が抱いたイメージを覆すことは非常に難しいという側面に留意しておく必要があります。
例えば、A社が長時間労働によるトラブルで従業員と裁判になり、それが報道されたとしましょう。その報道を目にした人が「A社は長時間労働を強制するブラック企業だ」という印象を抱いたとします。
すると、その後でA社がいくら「私たちはブラック企業ではない」というメッセージを発信したとしても、一度ついたイメージをなかなか払拭できないことは、想像に難くないでしょう。
これは極端な例ですが、同様に、採用ブランディングによって間違ったイメージを醸成してしまった場合、それを修正するのは難しいというデメリットがあります。
採用ブランディングに取り組むうえでは、適切なイメージが醸成されるよう熟考して戦略を立て、慎重に実行しなければなりません。
3-3. 採用ブランディングに取り組むリソース確保が必要になる
3つめのデメリットは「採用ブランディングに取り組むリソース確保が必要になる」ことです。
前述のとおり、採用ブランディングは短期間で効果が出る施策ではなく、年単位で取り組み続ける必要があります。
加えて、自社の採用ブランド力を高める目的を達成するように実行するとなれば、戦略立案から戦術の設計、実行まで、かなりの労力がかかります。
採用ブランディングは、誰でも簡単に成功させられるものではありません。成功させるためには人的リソースを確保して企業として本腰を入れて取り組む必要がある点は、より気軽な手法と比較すればデメリットといえるでしょう。
4. 採用ブランディングはこんな企業におすすめ
前章では採用ブランディングのマイナス面について触れましたが、マイナス面を差し引いても、大きな価値を企業にもたらすのが採用ブランディングといえます。
特に、採用ブランディングがおすすめな企業は、以下の企業です。
- 中長期的な視点で戦略的な採用活動に取り組みたい
- 自社の魅力を伝えきれず歯がゆい思いをしている
- 良い労働条件を提示しているのに優秀な人材が採用できない
それぞれ詳しく解説します。
4-1. 中長期的な視点で戦略的な採用活動に取り組みたい
1つめは「中長期的な視点で戦略的な採用活動に取り組みたい」企業です。
直近の短期的な採用ではなく、中長期的な企業成長をとらえた戦略的な採用活動に取り組みたいと考える企業であれば、採用ブランディングと非常に好相性といえます。
なぜなら、採用ブランディングは、単発の施策や一時的な社会情勢などに左右されることなく、自社に最適な人材が安定的に自ら入社希望し続ける仕組みを作る戦略だからです。
直近の人材補填に奔走するのではなく、先手を打った中長期的な視点で採用活動に取り組みたいのであれば、ぜひ採用ブランディングをスタートしましょう。
4-2. 自社の魅力を伝えきれず歯がゆい思いをしている
2つめは「自社の魅力を伝えきれず歯がゆい思いをしている」企業です。
人を大切にしている誠実な中小企業に多いのですが、本来とても魅力的な職場であるにもかかわらず、自社の魅力をアピールするのが不得手で、採用選考中に他社に競り負けてしまう企業なら、採用ブランディングが強力なソリューションとなるでしょう。
というのも、採用ブランディングとは言い換えれば「自社の魅力の伝え方を、戦略的に設計すること」だからです。
「こんなに良い会社なのに、なかなかうまく伝えられない」という悩みがあるのなら、採用ブランディングに取り組むことで、あなたの会社の魅力を最大限に伝えられるようになるでしょう。
4-3. 良い労働条件を提示しているのに優秀な人材が採用できない
3つめは「良い労働条件を提示しているのに優秀な人材が採用できない」企業です。
“入社したい気持ちを醸成しているモノは、賃金や労働時間などの労働条件だけではない”ことは先に述べたとおりですが、競合他社と比較して労働条件を出しているにもかかわらず、優秀な人材を獲得できないのなら「採用ブランド力」に問題がある可能性が高いでしょう。
求職者からポジティブなイメージを抱かれていない場合、そのまま採用活動を続けても、なかなか成果は出ません。
「もっと条件を良くすれば、入社希望者が増えるだろう」と給与の金額だけを引き上げても、状況は変わらないでしょう。
採用活動における“労働条件以外の部分”を改善するために、採用ブランディングへの取り組みがおすすめです。
5. 採用ブランディングのやり方 4ステップ
では、採用ブランディングとはどのように行えば良いのでしょうか。具体的な方法を4ステップでご紹介します。
- ステップ1:“働く場所”としての自社の「あるべき姿」を定める
- ステップ2:求める人物像を明確にする
- ステップ3:コミュニケーションを設計する
- ステップ4:設計したコミュニケーションを実行する
5-1. ステップ1:働く場所としての自社の“あるべき姿”を定める
1つめのステップは「働く場所としての自社の“あるべき姿”を定める」です。
採用ブランディングにおいては求職者に自社の魅力を伝えていくのですが、その前に必ずすべきことが、“自分たちの在り方”を決めることです。
“働く場所”としての自社の在り方を見つめ、どうありたいのか、どうあるべきなのか、“あるべき姿”のビジョンを明確にすることが、採用ブランディングのカギを握ります。
その理由は2つあり、1つめの理由は、ビジョンが明確でないままに採用ブランディングを進めればメッセージに一貫性が保てなくなり、採用ブランディングの効果を出せないからです。
2つめの理由は、「私たちの会社の在り方・ビジョンはこれです」というフィロソフィー(企業の根源的な価値観、哲学)こそが、求職者の「入社したい!」という気持ちを強める原動力になるからです。
多くの企業は、消費者・顧客に対して発信するためのフィロソフィーは、コーポレートサイトの企業理念のページなどに掲載しています。
加えて、“働く場所”としての自社のあるべき姿を明確にしましょう。具体的には以下を言語化していきます。
▼ あるべき姿として定義する要素
- 自社の従業員は何のために働くか(目的、果たすべき使命)
- どんなチーム(組織)でありたいか
- 企業文化、従業員に共有してほしい価値観
- 行動規範
- 会社は従業員をどのように扱うか(経営サイドの思い)
5-2. ステップ2:求める人物像を明確にする
2つめのステップは「求める人物像を明確にする」です。
ステップ1で自社の“あるべき姿”を明確にしましたが、次に、その場所でどんな人に働いてほしいか、求める人物像を明確にしていきます。
どんな行動特性や考え方を持ち、対人能力や基礎能力・強みには何を求めるか、できる限り具体的にしましょう。
この工程では、企業分析ツールを活用するのがおすすめです。
簡単な質問に答えていくだけで理想の人物像が言語化され、グラフで視覚化されます。
5-2-1. 診断結果の例
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5-3. ステップ3:コミュニケーションを設計する
3つめのステップは「コミュニケーションを設計する」です。
自社のあるべき姿と、求める人物像が明らかになったら、次は求める人物像の人たちに向けて、自社の在り方をメッセージとして発信するコミュニケーションを設計していきます。
コミュニケーションは「何を伝えるのか」「どう伝えるのか」の2つの視点から設計しましょう。
5-3-1. 何を伝えるのか
「何を伝えるのか」を決めるうえで最初にすべきことは「キーメッセージの設定」です。
キーメッセージとは、あなたの会社について学生や転職者の人たちに、最も伝えたいメッセージです。
限られた接触回数のなかでは、たくさんのことを伝えようとしても、何も伝わりません。最も伝えたいメッセージを絞り込み、さらに一瞬で伝わる言葉に変換することが大切です。
これは、商品やサービスの「キャッチコピー」をイメージするとわかりやすいでしょう。わずか15秒のテレビCMでも、キーメッセージが的確に設定されていれば、その言葉が見た人の心に残り、ポジティブなイメージを醸成するきっかけとなります。
求職者に向けて、15秒のテレビCMを作るつもりで、伝えたいメッセージを凝縮してください。
5-3-2. どう伝えるのか
伝えたいメッセージを明確にしたら、そのメッセージをどう伝えるのかを検討します。どう伝えるのかを設計するうえで最も重要なことは、企業と求職者とのあらゆる接点において一貫したメッセージを発信することです。
例えば、「求人広告には●●と書いてあったのに、実際に面接して受けた印象はまったく違っていた」──となると、採用ブランディングは失敗です。
あらゆる接点において一貫性を担保するために重要なのが、ステップ1で設定した“あるべき姿”です。あらゆるコミュニケーションは、“あるべき姿”と整合性が取れている必要があります。
企業と求職者との接点には、例えば以下が挙げられます。
- コーポレートサイト
- 採用サイト
- 自社で運用しているSNSアカウント
- 会社説明会
- 求人広告
- 求人情報サイトの掲載文
- 人材紹介会社のエージェントから受ける説明
- 来社したときに目にするオフィス
- 面接時に面接官が発する言葉
- 採用担当者が質問を受けたときに返答する内容
採用ブランディングを実践していない企業では、それぞれの接点でのコミュニケーションに意図を持っていません。そのため、求職者が持つイメージはさまざまです。
採用ブランディングでは、あらゆる接点でのコミュニケーションを、意図を持って設計することにより、総合的にポジティブなイメージや感情を醸成することを目指していきます。
5-4. ステップ4:設計したコミュニケーションを実行する
4つめのステップは「設計したコミュニケーションを実行する」です。
ステップ3までを実践すると、採用ブランディングの戦略が完成します。しかし、ここまでで満足してしまうと、何も成果が挙がりませんので注意してください。
大切なのは「実行」です。
設計したコミュニケーションを、現場で実行できるタスクにブレイクダウン(分解)して担当者を割り振り、誰が・何を・いつまでにやるのかを明確にしましょう。
確実に採用ブランディングの実行を進めていくために、ブレイクダウンしたタスクはスケジュールに落とし込み、計画を可視化して関わるメンバーで共有します。
「週に1回」「月に1回」など、進捗確認ミーティングの開催もスケジュールに入れ、計画の実行率を高めて行くとよいでしょう。
6. 採用ブランディングに取り組むうえでの注意点
前章では採用ブランディングのやり方を解説しましたが、取り組むうえでは注意したい点がありますので、お伝えしましょう。
- 定めた“あるべき姿”は実践されていなければ意味がない
- 中長期的な視点を持って取り組む必要がある
- 迷ったら“あるべき姿”という大前提に立ち返る
6-1. 定めた“あるべき姿”は実践されていなければ意味がない
1つめの注意点は「定めた“あるべき姿”は実践されていなければ意味がない」です。
ブランディングというと、“望むイメージを人々に刷り込む”というイメージを抱く人もいますが、それは本来のブランディングとは相反する行為です。
採用ブランディングとは、会社にとって都合の良いイメージを求職者に浸透させることではありません。自社の働く場所としての在り方を見つめ直したうえで、その在り方をあらゆるシーンで体現していくことが、採用ブランディングの実践です。
体現の一環が、求職者との接点におけるコミュニケーションになりますが、同時に、実際に定義した在り方を社内で実践していくことも大切です。
なぜなら、実体のない嘘のメッセージを発信しても、求職者の心には響きませんし、その嘘は違和感となって見破られるからです。
特に近年では、企業の口コミサイトによって、元社員たちのリアルな声を誰でも収集できます。実体を高めていくことの重要性が増しています。
定めたあるべき姿を実践し、メッセージとして発信し、そのフィロソフィーに共感した求職者が「この会社に入りたい!」と入社してくる。これが、本来の採用ブランディングの目指すところです。
6-2. 中長期的な視点を持って取り組む必要がある
2つめの注意点は「中長期的な視点を持って取り組む必要がある」です。
採用ブランディングの本当の効果が実感できるのは、1年、2年、3年──と継続して取り組みを続けた場合です。
一過性ではない持続的な「採用ブランド力」を身に付けるためには、それだけ時間をかける必要があることを知っておきましょう。
逆に、長期的にじっくりと醸成した採用ブランド力は、その効果の持続期間も長期にわたります。仮に短期的に目に見える成果が出なかったとしても、長い目で見れば、企業にとって大きな利益をもたらすはずです。
一過性のものではなく、自社の財産を蓄積していくつもりで、中長期的な視点で取り組みを続けましょう。
6-3. 迷ったら“あるべき姿”という大前提に立ち返る
3つめの注意点は「迷ったら“あるべき姿”という大前提に立ち返る」です。
採用ブランディングを実践するプロセスにおいて、つまずいたり迷ったりすることがあるかもしれません。
そんなときには、目指している“あるべき姿”はどこか?という大前提に立ち返りましょう。
大前提に立ち返ることなく、各担当者が自分の思うままに施策実行を進めてしまうと、せっかくポジティブなイメージを醸成しかけていたとしても、あっという間に崩壊してしまいます。
採用ブランディングにおいては、一貫性が大切です。すなわち、企業が目指す“在り方”という背骨を一本通したうえで、すべての担当者が同じベクトルに向かって採用活動に取り組む必要があります。
迷ったら“あるべき姿は?”という大前提に立ち返り、施策の立て直しを図りましょう。
7. 採用ブランディングを成功させるコツ
最後に採用ブランディングを成功させるコツを3つ、お伝えします。
- 採用手法の選択自体も採用ブランディングを意識する
- “強いワンセンテンス”で採用ブランディングを加速させる
- 採用ブランディングに役立つツールを活用する
7-1. 採用手法の選択自体も採用ブランディングを意識する
1つめのコツは「採用手法の選択自体も採用ブランディングを意識する」ことです。
ハローワーク、人材紹介、ヘッドハンティング、自社サイト、リファラル採用……と、採用手法にはさまざまな選択肢があります。
これらの採用手法を選択するうえでも、採用ブランディングを意識してみましょう。
例えば、「社員同士の家族のような絆を大切にする」という企業風土の会社なら、リファラル採用(社員による紹介)に重きを置くことで、“絆を大切にするという在り方”を体現できます。
先進性のある企業でありたいのなら、DX(デジタルトランスフォーメーション)を採用に取り入れるのも、ひとつの方法といえるでしょう。
採用DXの手法の例としては「CIY®」があります。採用DXを手軽に採り入れることができ、少ない労働力で生産性を維持・向上させていくことに特化しています。
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7-2. “強いワンセンテンス”で採用ブランディングを加速させる
2つめのコツは「“強いワンセンテンス”で採用ブランディングを加速させる」ことです。
「5-3. ステップ3:コミュニケーションを設計する」にて“キーメッセージの設定”についてお伝えしました。
このキーメッセージを、より訴求力の強いワンセンテンスで表現できれば、採用ブランディングを加速させることができます。
同時に、表現の無駄をそぎ落として磨き上げ、訴求力の強いワンセンテンスを練り上げるプロセスは、「あなたの会社にとって本当に大切なコアのメッセージ」を抽出することにほかなりません。
強いワンセンテンスを追い求め続けることそれ自体が、自社の在り方をより深く見つめ、本質を拾い上げることにつながります。
その本質に共感した人を採用するからこそ、「採用した人が辞めない」「理念に共鳴しイキイキと働く」「会社の業績に貢献する」といった成果を達成できるのです。
7-3. 採用ブランディングに役立つツールを活用する
3つめのコツは「採用ブランディングに役立つツールを活用する」ことです。
採用ブランディングにおいては、“目に見えないもの”を、どれだけ高い感度でとらえ、言語化・視覚化し、戦略的に組み立てられるかがカギを握ります。
例えば、会社としての思い、ビジョン、企業カルチャーから、人材に求める行動特性や性格、価値観などです。
現在では、これらを見える化するうえで役立つ採用ツールが登場していますので、自社の状況に合わせて上手に取り入れていきましょう。
前述のとおり、CIY®は採用ブランディングに役立つ機能を持っています。ご興味のある方は以下のリンクよりご確認ください。
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8. まとめ
採用ブランディングとは学生や転職者に向けたブランディングのことで、「あの会社に入りたい!」「あの会社は働きがいがありそう」のようなポジティブな感情やイメージを醸成するための一連の取り組みを指します。
労働市場は売り手市場となっており、採用ブランディングによって採用ブランド力(=この会社に入りたいと感じさせる力)を高めなければ、優秀な人材の獲得が難しい状況です。
採用ブランディングのメリットとして以下が挙げられます。
- 小さな会社でも人気の就職先・転職先になれる
- 採用のミスマッチが減り離職率が下がる
- 働きやすさ・働きがいが向上し組織全体の生産性がアップする
採用ブランディングのデメリットとして以下が挙げられます。
- 即効性はなく効果が実感できるまで時間がかかる
- 間違ったイメージが醸成されると修正が難しい
- 採用ブランディングに取り組むリソース確保が必要になる
採用ブランディングはこんな企業におすすめです。
- 中長期的な視点で戦略的な採用活動に取り組みたい
- 自社の魅力を伝えきれず歯がゆい思いをしている
- 良い労働条件を提示しているのに優秀な人材が採用できない
採用ブランディングのやり方を4ステップでご紹介しました。
- ステップ1:働く場所としての自社の“あるべき姿”を定める
- ステップ2:求める人物像を明確にする
- ステップ3:コミュニケーションを設計する
- ステップ4:設計したコミュニケーションを実行する
採用ブランディングに取り組むうえでは、次のポイントにご注意ください。
- 定めた“あるべき姿”は実践されていなければ意味がない
- 中長期的な視点を持って取り組む必要がある
- 迷ったら“あるべき姿”という大前提に立ち返る
採用ブランディングを成功させるコツは以下のとおりです。
- 採用手法の選択自体も採用ブランディングを意識する
- “強いワンセンテンス”で採用ブランディングを加速させる
- 採用ブランディングに役立つツールを活用する
採用難といわれる現代ですが、採用ブランディングに取り組むことで、自社の採用力を高めることができます。
採用ブランディングの成果が出るまでには時間がかかりますので、できるだけ早く取り組みを始めましょう。
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