内定者フォローとは?内定辞退を防ぐための施策を解説

更新:2024.10.28|公開:2021.08.19

内定者フォローとは?内定辞退を防ぐための施策を解説

内定者フォローとは?内定辞退を防ぐための施策を解説

内定者フォローとは、企業が内定者に対して入社までの間継続的に接触を図る活動全般を指します。

適切な内定者フォローによって内定者の不安や疑問を解消することができれば、入社への意欲を高めることが期待できます。

目次

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社会的な労働力不足から、自社の未来を担う人材を採用する現場も厳しさを増しています。
長い時間とコストをかけて内定まで進めても、採用内定者から辞退されてしまっては徒労に終わります。

内定者フォローはこうした事態を阻止し、必要な人材を確実に迎えるための重要な施策です。
ここでは内定辞退を防ぐため、知っておきたい内定者フォローに関する情報を解説していきます。

1. 内定者フォローとは

初めに内定者フォローの役割や必要とされる背景を解説していきます。

1-1. 内定者フォローの役割

内定者フォローとは、企業が内定者に対して入社までの間継続的に接触を図る活動全般を指します。適切な内定者フォローによって内定者の不安や疑問を解消することができれば、入社への意欲を高めることが期待できます。

また、こまめなコンタクトが内定者の近況確認となるため、意識の変化や状況の異変などにいち早く気付き、対策を講じることも可能です。

さらに、内定者の辞退を防止すると同時に、自社で働くイメージを膨らませ、入社後の定着を促進する役割もあります。

1-2. 内定者フォローが重視される背景

内定者フォローが重視されるのには、次のような背景があります。

1-2-1. 慢性的な売り手市場

コロナ禍の影響により、採用活動においても多少状況の変化は見られますが、基本的に売り手市場であることに変わりはありません。

新卒の内定辞退は非常に多く、リクルート就職みらい研究所の調べによると、2021年度卒就職希望者・内定取得者の2020年10月1日時点の就職内定辞退率は60.6%です。

出典:株式会社リクルート 就職みらい研究所「就職プロセス調査2021年卒」P.6
(調査期間:2020年10月1日~10月5日)

中途採用でも内定辞退が増加傾向にあり、新卒採用、中途採用にかかわらず、内定辞退の阻止が企業にとっての大きな課題であると言えます。

少子高齢化という人口構造の変化によって社会的に労働力不足が深刻化するなか、優秀な人材は複数の企業からオファーを受けます。
自社の採用内定者もまた、いくつもの内定通知を受けている可能性があることは否定できません。

そんな中で自社への内定辞退を防ぐためには、細やかな内定者フォローが重要になってくるのです。

1-2-2. 情報過多社会

採用内定者は企業に対する無知から不安感を抱く可能性があります。
情報化社会である現代では、インターネットの情報から企業に対して否定的イメージを持ってしまう恐れもあります。

内定者フォローにより、正確な情報と企業側の意図を真摯(しんし)に伝えていくことで、自社への不安要素を取り除き、信頼感や親近感を醸成することができれば、内定辞退への抑止力となります。

2. 内定辞退の主な理由

内定辞退の主な理由

内定フォローに役立てるためにも、内定辞退の理由を知ることが大切です。内定辞退のよくある理由をいくつか見ていきましょう。

2-1. 条件の不一致

報酬や休日、仕事内容など求職者が希望する条件に合わないため内定を辞退するケースがあります。
求職者が早い段階で条件が合わないことを知っていれば、内定まで進んでからの辞退にはならないのですが、面接官への心証を気にして、面接では条件面について質問しない求職者もいます。

求人広告や自社サイトの募集要項などにできるだけ詳しく条件を記載する、面接の早い段階で詳しい条件を伝えるなどの対策で、内定辞退を防ぐことができます。

2-2. 入社への漠然とした不安

知らない場所で働くということには、誰しも漠然とした不安を感じます。
いざ内定をもらうと、その企業で働くことが現実味をおび、その不安が顕在化してくるケースがあります。

実際に仕事をやっていけるのか、本当に適性があるのか、職場の人とうまくやっていけるのか、ここで本当に成長していけるのかなど、さまざまなことが懸念材料となってきます。

求職者に不安や疑問が生じたときに、いつでも相談しやすい体制を整えておくことが大切です。

2-3. もともと志望度が低い

求職者が複数の企業を受ける可能性もあります。
とりあえず受けたけれども、業界・業種・仕事内容への興味はそれほど高くない、同じ業界内でも志望の順位が低いといった場合は、当然内定辞退される可能性が高くなります。

面接の早い段階で自社への志望度を見極める、自社の情報を十分に伝えて志望度を高めてもらうといった対応が、内定辞退の防止策になります。

2-4. 選考途中での入社意欲の低下

期待を持って応募したものの、選考途中で当初抱いていた企業イメージにズレが発生し、入社意欲が低下するケースがあります。

例えば、面接において、提出した書類に目を通していないことがうかがえる質問があった、こちらの質問に誠実に答えてもらえなかったなど、面接官の態度に不信感をつのらせるといった場合が該当します。
また、ネット上のネガティブな情報に気持ちが左右される求職者もいます。

面接官を含めた選考担当者の教育を徹底したり、インターネット上の自社の口コミを把握しておいたりするなどの対策を講じる必要があります。

3. 内定辞退防止のための内定者フォロー具体例

内定辞退防止のための内定者フォロー具体例

内定者は入社に際して、すでに知っている仲間がいると不安が軽減します。
入社前に内定者同士や既存社員、人事担当者とのコミュニケーションが図れるようなフォローがあれば、内定者も安心するでしょう。

また、ある程度職場の雰囲気や仕事内容に触れ、必要な知識・スキルを前もって高めておくことも内定者の安心につながります。

上記を踏まえ、内定者フォローの具体例をいくつか紹介します。

3-1. メールや手紙、電話によるコンタクト

アナログな手法ですが、内定者と人事担当者で1対1の緊密なコミュニケーションを取ることが可能です。

内定者の内面に触れることができ、入社後の配属先を検討する際の参考にもなります。

3-2. SNSによる情報発信

SNSには双方向のコミュニケーション機能があるため、内定者との距離が近く、質問にもリアルタイムで対応ができます。

「今日の○○社」のようなコンテンツを設け、一般社員の動向を配信したり、先輩社員からの「待っている」メッセージを流したりするのもいいでしょう。

3-3. 懇親会やイベントの企画

リラックスした中で内定者同士や既存社員とのコミュニケーションが図れます。
オンラインでの実施も可能です。

3-4. 講習会や勉強会、セミナーの実施

業務に直接関連性のある学習ができるのと同時に、内定者同士のコミュニケーションの場ともなります。

3-5. 内定者インターンシップ

実際の現場で業務に参加してもらいます。入社前に、職場の雰囲気を知ってもらうことができます。

なお、インターンシップは採用選考に入る前に実施するのが一般的です。インターンシップについて詳しく知りたい方は、「インターンシップとは?その種類や企業側のメリット・デメリットなどを解説」をご覧ください。

3-6. 内定者管理ツールの利用

上記のような内定者フォローを一元管理できるツールを利用する方法もあります。

日程調整機能やイベント管理機能、SNS機能のほか、オンライン学習機能などが搭載されているのが一般的で、一連の内定者フォローをこれだけで完結することが可能です。

担当者の負担軽減にもつながります。

4. 内定者フォローのポイント

内定者フォローのポイント

内定者フォローを実施していくうえで心得ておきたいポイントを解説します。

4-1. 内定者との距離感を詰めることを意識する

内定者フォローで大切なのは、内定者との距離感を詰めることです。

4-1-1. 内定通知

内定者フォローのスタートとなる「内定通知」は事務的すぎず、くだけすぎず、内定者が不快感を抱かないよう、作成することが大切です。

内定者のどこを評価して採用を決めたのか理由を書くと、内定者の入社への意向が高まるかもしれません。

4-1-2.内定直後からチーム意識を持つ

内定者に孤立感を抱かせないことが大切です。
例えば、質問や問い合わせに対して回答までに時間を置いてしまうと、放置されたように感じる内定者もいます。

SNSやメッセージツールを駆使して、迅速にフォローできる環境を整えておくのもいいでしょう。

4-1-3. チームメンバーの協力

既存社員に協力してもらうことも効果的です。

懇親会やイベントなどで既存社員の紹介をし、ともに働く仲間として既存社員から内定者へ言葉をかけてもらい、親近感を醸成します。
より多くの人の顔が見えれば、内定者も安心します。

4-2. 内定者の立場で考える

確実な入社を促すためには、内定者の立場となり、不安の原因を探る姿勢が求められます。

自分が内定者の立場であった場合には、何に不安を感じるか、どういったフォローがあれば嬉しいかという視点で考えるといいでしょう。

例えば内定者同士が交流したい気持ちを理解し、人数別、規模別の集まりを随時企画したり、入社前のモチベーションアップをサポートするために、タイミングを見ながら社内情報を発信したりと、やるべき内定者フォローが見えてきます。

4-3. 内定者の気持ちの揺れを受け止め、早めに対応する

最終的に入社するまでに内定者の気持ちが揺れることはあり得ます。
内定を受諾してくれたからもう大丈夫だと考えず、揺れは当然あるものと考え、何かあれば、すぐに対応できるようにしておきましょう。

例えば相談室を設け、内定者に疑問や不安が生じればすぐに相談を受け、誠実な回答やアドバイスをできるような体制を整えておきます。

内定者の気持ちの揺れを受け止め、丁寧にフォローをすることで、信頼を勝ち得ていけるでしょう。
内定者が疑問を解消して入社することができれば、入社後の早期離職の回避にもつながります。

早期離職問題について詳しくは、「早期離職を減らすには?知っておきたい離職の理由と対策」をご覧ください。

以上のような3つのポイントを把握し、一人ひとりの内定者を思い浮かべながら、内定者の不安を取り除くために何ができるか、内定者に自社への理解を深めてもらうために何ができるかを考えていくことが大切です。

5. 内定者フォローで確実に採用を

内定者フォローで確実に採用を

新卒・中途採用を問わず、多かれ少なかれ内定者がためらいや不安を持つのは自然なことです。
それを念頭に内定辞退を防ぐにはどうすればいいのかを考えることが大切です。

内定者の気持ちに寄り添った適切な内定者フォローができれば、内定者の疑念や不安要素を解消し、自社への理解を深めることができます。

担当者は内定者フォローの重要性を理解し、効果的な施策に向けて尽力していく必要があるでしょう。

なお、紹介してきたように、内定辞退を避けるには内定者フォローが重要ですが、その前に内定者が自社と本当にマッチしていることが、内定辞退を阻止するための大前提となります。

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